星の瞬く音しか聴こえない、それが砂漠の夜です。
大きな大きな砂漠の中程に小さな小さなオアシスがありました。そこに蟻ほどの村があります。その集落の一番小さな小屋に、5歳の男の子と頭がすっかり白くなった足の悪いおばあさんが住んでいます。男の子の両親は隣の国との戦争で村から連れ出され、音沙汰はありません。男の子ももう少し大きかったら、戦場に行かされたに違いありません。戦場では、命令することを聞くか分からない大人よりも、脅せば、きちんということを聞く少年兵の方が重宝されたのです。
そんな地獄は免れたものの、5歳の少年の肩に、足の不自由な最近は目も悪くなったおばあさんの暮らしがのしかかったのです。