さてさて、前回は雪娘賛歌で終わってしまいましたが、全体の感想も書きましょう。
ネタバレ少なめですが、あります。そしてひいき目はいつもどおり満載の超個人的感想ですので、軽く流し読みできるはどうぞ。
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◆暗い!?
思ったより、暗い部分をおそれず描いていましたね。戦争というものの影と、人がそれにどう向き合い、どう歩んでいくか。。。
シリアスな背景があるからこそ、楽しい場面やユーモラスなキャラクターにも深みが増していました。
◆チャラ男の見本、朝美絢!
チャラい!
チャラいの天才ではないかと思う。なおかつ、ゆきのさん演じるマイロにあからさまに迫られると、意外にたじたじで断ってしまうまじめっぷり。ミーマイの天海さんはジャッキーに誘惑されたとき、我慢してるけど鼻の下のびのびです!という感じがとてもチャーミングだったのですが、朝美さんは意外にも「そこは誠実なのね?」という慌てぶり。面白かった。
チャラ男は見せかけでほんとはめっちゃ真面目なんですというジェリーでした。タイトル通り、パリにいるアメリカ人の異質なくらいな明るさというのをもっと出す演出もおそらくあるとは思うのですが、このくらいのセンシティブ感が、あーさっぽくていいなと思いました。
◆せおっち、うますぎる。
ばっちりでしたねーーー、手紙のシーンのまじめだからこそ笑っちゃう感じ、リズを思うばかりにジェリーのことばを許せない誠実さ。かんぺき、とはこういうことをいうのだろう。何をみても余裕しか感じないという。アンリは実はゲイだったのではないか疑惑は、この芝居にはそれほど出さなくて良かったのではと思うけど、、、、、あれは、演出の方針だしせおっち自身はそれほど厚みをかけてなかったかなというのがわたしの印象です。
◆めがね&やさぐれ縣千、イイ!
眼鏡というものは、最強である。そして、やさぐれる縣さんというのは新鮮!ちょっとうっとしいオタク感も良かったですねえ。リズにあっさり惚れるものの、リズはもちろん誰にも気づいてもらえてないですよね、、、、その置いてきぼり哀しさ感も、縣さんがやるとなぜだかチャーミングにうつってしまう。マイロにパトロンになってもらったらちょうどよいのにねえ、というくらいの魅力が詰まってました。
戦争で脚を怪我した設定なので、思いっきりダンスができるシーンは限られていましたが、その辺の調整も絶妙で、脚が動かせない演技をしつつ、腕や上半身でカフェでみんなで騒ぐシーンでもちゃんとキメキメに目立ってるとこがすごい。
そして、フィナーレに入って眼鏡を外し、脚も自由に使えるとなったら、、、、、
いつものアガタ降臨!
ここぞとばかり、めっちゃ大人っぽい色気をふりまいてのダンスが、かっこいいったら!!
目線の流し方、顎をすっと上げる感じ、ちょいダサがキュートだったアダムはどこへ????このギャップで、さらにうちのめされる。ロビンに続き、オイシイ役設定でしたねーーーー。縣さんへの期待値の高さというものは、ほんとにすごいなと再認識。
◆紗蘭令愛のクロード!
おおーーーーーー、さらんちゃん、こういうの仕上げてくるかい!
前回の別箱フォルモサの神父で、一気に進化をみせてくれたさらんちゃん。今回の執事クロードも、出色でしたね。知らなかったら、さらんちゃんと分からなかったのではないかというくらいおじさんメイクと立ち居振る舞いが抜群でした。結構ビジュアル系のスターさんと思っていたので、この変容はほんと素晴らしい!なんか、ご本人のなかで目覚めた感じがあります。
◆蒼波黎也スパーク!
あのねえ。この方はついこの間、新人公演を卒業したのではなかったですか????
なんなの?
このひょうきんなおじさん??
立ってるだけで、手を挙げるだけで、ちょっとしゃべるだけでのインパクトがすごすぎます。モブのダンスでも長身がいきて目立ちますね。助手役の琴峰さんとのバランスもばっちりでした。信頼しかない。雪組に欠かせない人、という感じが出てきましたね。圧倒的な存在感と華とクセで雪組脇役をしめていた叶ゆうりが宙組応援にいった今、その大きな大きな穴を埋めるのは、実はれいやさんでは?
いまの雪組1~3番手は、ビジュアルも実力もバランスも素晴らしいと思います。呼吸があっているだけでなく、それぞれの良さをよく理解して、互いに引き立てあい、盛り立てあっている。自由自在の芝居運びで、悩んだりはじけたりする若者の繊細さと爆発力を、あますところなく謳歌してくれました。加えて、パリのアメリカ人というかなりダンスも芝居も相当難しいコンテンツをなんなく魅せてくれちゃうこのカンパニーの強さは、ほんとに感心するばかり。
やっぱ、すごいね、雪組(ひいき!)