土木の設計技師だからと言って、土木業務すべてに精通している人はまずいないかと思います。
橋梁、トンネル、ダム、河川、上下水等々で分野が分かれており、その分野専門で設計している場合が多いです。
私の専門は河川・砂防ですが、現在はほぼ砂防専門となっています。
砂防の設計の場合は何をするのかというと、土石流等の災害から下流の民家等の保全対象を守るため、砂防堰堤(砂防ダム)や渓流保全工(水路)を計画、設計します。
その設計はざっとこんな流れになります。
※砂防堰堤等は公共施設なので官公庁が発注する業務となり、打ち合わせ協議はすべて発注先の官公庁と行います。
※現地調査の実施に当たっては、事前に地権者に許可をいただいてから現地に入ります。
- 既存資料や地形図より土石流が発生する渓流の流域、降雨量、保全対象、地域特性(流域内になんらかの規制があるか等)等の諸条件の把握
- 現地調査を実施し渓流の土砂量、巨石、流木の量と規模を測定
- 現地調査結果を元に土石流発生時等に流出する土砂量、流木量、巨石の規模等の算出
- 堰堤の位置および規模(「3.」を元に決定します)を比較検討して最適案を算出
- 上記を元に発注先の官公庁と打ち合わせ、協議(これは設計の節目節目で行います)
- 協議結果より再度検討が必要な場合は4.に戻ります
- 協議結果より位置および規模が決定すると、構造計算等により堰堤等の各構造を決定します。
- 平面図、縦断図、横断図、一般図、構造図等の設計図作成
- 上記を元に発注先の官公庁と打ち合わせ、協議
- 協議結果により課題、問題点等を検討、修正
- 施工計画策定(工事が出来るよう工事用道路の計画や施工方法の検討を行います)
- 上記を元に発注先の官公庁と打ち合わせ、協議
- 数量算出(工事に必要なコンクリート、型枠等々の量を算出します)
- 報告書とりまとめ(諸条件、現地調査結果、構造計算、施工計画等を報告書としてまとめます)
- 報告書、図面、数量納品
上記の設計期間としては設計だけで無く、関係機関との協議とか、地質調査、測量とかもあり、半年以上かかかることが一般的で、1~2ヶ月ぐらいの短い期間で業務が完了するということはないです。
こちらは渓流保全工です。
2014年のソチ、2018年の平昌と、フィギュアスケート男子シングルでオリンピックを連覇した羽生結弦選手。
本書は、日本テレビの報道番組「news every.」で2011年から10年間、羽生選手と震災との関わりをテーマに取材してきた記録をまとめたものである。