↑のつづき。


さて、前回に引き続き、
養蚕の町 富岡市をゆく。

蛇宮神社から徒歩で30分。

1月の冬晴れの日だったため、
30分くらいは気持ちの良い朝散歩だ。


と、思っていたら、
長~い登りの表参道が現れた。





ようやく大鳥居までたどり着いた。



神門手前の両端には興味深い燈籠。





『貫前神社唐銅製燈籠』

富岡市指定重要文化財。

案内板によると、
高さ役395センチの1対の銅製灯籠で、
慶応元年(1865年)に制作され、
慶翌年にこの場所に建てられた。



狛犬も迫力満点。



恒例の「狛犬の見る景色」。





神門をくぐって見える景色には
びっくりした。


社殿の位置が低い。


全国的にも珍しい『くだり参道』。


参道入口の鳥居から、
石段を下って拝殿へと向かう
珍しい神社のことを「下り宮」と呼ぶ。

この貫前神社は、
宮崎の『鵜戸神宮』、
熊本の『草部吉見神社』とともに
「日本三大下り宮」と称されている。



石段途中、右側の『齋館』。



左側には末社『月読神社』。

祭神 月夜見命 他十七柱の神々
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現在の社殿は、
寛永12年以前の旧御本社拝殿を
『牛王堂』として使用し、
明治維新後、月夜見命をお祀りして
月読神社と改称した。

明治41年、近在の氏神である
社久司神社(秋畑琵琶澤)、
雷電神社(秋畑二ツ石)、
湯前神社(秋畑裏根)、
近戸神社(富岡市野上)の各社を合祀した。
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社久司神社はミシャクジかな❓️


月読神社は元は牛王堂であり、
牛頭天王(素戔男尊)が祭られていた。

月読とは兄弟神だが、
粟国造粟飯原家系図では
月夜見命 亦御名 須佐之男命」と
記載されており、同一神の可能性もある。


後で気づいたことだが、
1月の関東編では、
滅多に御会い出来ない
月読命の神社とご縁があった。




『楼門』。

とても立派な朱塗の楼門は、
入母屋造り、銅板葺き。

本殿・拝殿・楼門は、
国指定重要文化財である。







拝殿。

上野国一之宮 延喜式内名神大社
『一之宮 貫前(ぬきさき)神社』

鎮座地 群馬県富岡市一ノ宮
創建 安閑天皇の元年(西暦531年)
別名 抜鉾神社
祭神 経津主神(フヌツシ) 姫大神

現在の社殿は、
3代将軍徳川家光公の命により
建てられたのだそうな。


祭神の経津主神は日本書紀の国譲りの際に
葦原中国平定の功績がある一方、
この貫前神社では、
物部氏の氏神として祀られている。

もう一柱の姫大神については、
正確な神名は伝わっていないものの、
養蚕と機織りの神とされており、
貫前神社ホームページによると、
一説には
綾女庄(あやめのしょう:当地の古い呼称)に
住んでいた渡来の高麗人(こまびと)が
養蚕や機織りを伝え、
その人々が奉賛していた古い神であるとも
云われている。



年間祭儀が71回もあり、
御戸開祭(みとびらきさい)や
無形民俗文化財に指定される
鹿占神事(しかうらしんじ)など
古くからの祭儀が数多く残る。

鹿占とは、
鹿の肩甲骨焼いた時に出来る 
ひび割れによって吉凶を占う手法であり、
弥生時代から始まったこの占いは、
古代には盛んに行われていたが、
現在ではこの貫前神社と
武蔵御嶽神社でのみおこなわれている
のだそうな。


一之宮貫前神社ホームページによる
御由緒↓
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一之宮貫前神社は群馬県富岡市一ノ宮、
蓬ヶ丘(よもぎがおか)と呼ばれる
丘陵の北斜面、俗に菖蒲(綾女・あやめ)谷と
いわれる渓間に南面して鎮座しています。

南の参道をのぼって総門に至り、
そこから石段をくだった位置に社殿があり、
いわゆるくだり参道となっています。

創立は社伝によると
鷺宮(さぎのみや:現在の安中市)に
物部姓礒部氏が氏神である
経津主神(ふつぬしのかみ)をお祀りし、
次いで鷺宮の南方、
現在の社地に社を定めたのが
安閑天皇の元年(西暦531年)とされてます。

天武天皇の時代に初の奉幣
(ほうべい:天皇の命により神社に
幣帛を奉ること)があり、
当時遠く奈良の都にまで
貫前神社の存在が知られていたといえます。
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本殿が見えた。



社殿の周りをグルっと回れる。



朝日に照らされて光輝く本殿。

いっつごーじゃす。

本殿の造りは『貫前造』という
独特の社殿形式であり、
国指定重要文化財である。



裏手に小さな境内社が見えた。

摂社『抜鉾若御子神社』。

安閑天皇の御代に現れたと伝え
上野国神明帳に従五位抜鉾若御子明神と
記載されている。
明治38年に一ノ宮字若宮の地より
現在地に遷座された。

「抜鉾若御子(ぬきほこわかみこ)」
という社名から、
この貫前(抜鉾)神社の祭神の
御子神が祀られているのだろうか。

経津主神の御子神と言えば、
『天苗加命(アマノナエマス)』。
香取神宮の摂社若御児神社の祭神であり、
香取神宮の大宮司を代々つとめる
香取氏の祖神である。

ちなみに、
『天苗加命』の別名は、
『朝彦命(アサヒコ)』。

つまり『麻彦命』❗

絶対的に阿波忌部一族である(笑)


経津主神(フヌツシ)が
阿波忌部の祖『天日鷲命』の孫である
『由布津主命(ユフツヌシ)』と
同一神である可能性が高まった。


















苔むす美しい石積み。







『経蔵址(きょうぞうあと)』。





個人的には、
祭神の経津主神(フヌツシ)は、
阿波忌部の祖『天日鷲命』の孫である
由布津主命(ユフツヌシ)』ではないかと
考えている。


経津主神の別名は
斎主神(イワイヌシ)(伊波比主命)』。

」の字があることから、
斎部氏(忌部)との関連がうかがえる。


『安房国忌部家系』によると、
由布津主命の別名は、
阿八別彦(アワワケヒコ)

「阿波から別けた神」を意味する。

神武天皇の御代、
天皇から勅命を受け、
忌部の祖『天太玉命』の孫
天富命』は阿波忌部の孫の一部を率いて
黒潮に乗って房総半島に辿り着いた。

東国開発の為に安房国に移住したのである。


そして、
天富命の娘『飯長姫』を娶ったのが
阿波忌部の祖『天日鷲命』の孫
由布津主命』である。


由布津主命
天桅弓、天羽羽矢を用いて
諸国の神達を平定し、
その領土を拡大していった。

現在の房総半島南部の安房国から、
北上して上野国に入ったとしても
不思議ではない。


忌部族は、阿波の大麻山南方
旧吉野川の川﨑(洲崎)より
カンドリ船で出発した。

カンドリとは舵取りを意味し、
香取(カトリ)の由来とも云われる。

ちなみに、
千葉の下総国一之宮『香取神宮』の祭神は、
経津主神である。


上野国一之宮と
下総国一之宮の祭神は、
ともに、経津主神なのだ。

ちなみに、香取神宮の第一摂社
『側高神社』の祭神は
天日鷲命である。


由布津主命経津主神

無関係であるはずがない(笑)


と、なると
貫前神社のもう一柱の祭神『姫大神』も

由布津主命の后である飯長姫ではなかろうか。


本殿裏の御子神の存在からも

可能性はある。


情報が記載されている↓
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
安房神社の極めて近くに
香取神社(梶取神社)が
大正5年までは存在していたが、
その祭神は経津主神ではなく、
天富命に従ってこの地に来たと言われる
宇豆毘古(槁根津日子)だったという。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

これが本当ならとんでもない。

とにもかくにも、
やはり経津主神は忌部一族ですね…


東国を開拓した忌部族の
命(アメノトミ)。

岡市の名も忌部の痕跡だったら
面白い。

経津主神は物部氏の氏神。

物部と言えば『トミ』と深い繋がりがある。





境内社
末社『日枝神社』
末社『伊勢内宮 外宮』




他にもずらりと並ぶ境内社
『二十二末社』。



気になったのは『咲前神社』。

群馬県安中市鷺宮に鎮座する
『咲前(さきさき)神社』は、
貫前(ぬきさき)神社の前身といわれている。

「さき」は「鷺(サギ)」だろうか。

前回の蛇宮神社と同じく、
咲前神社にも白蛇がいるといわれ、
「蚕の神様」なのだそうな。

境内には、大物主を祀る
『鷹巣(たかのす)神社』がある。

「鷲」「鷹」「鷺」「羽」など
鳥に関連する一族と言えば
阿波忌部である。





群馬県指定天然記念物
『貫前神社のスダジイ』。

県内最大級のスダジイといわれ、
伝承では樹齢約1000年❗

まさに「スダ爺(じい)」である。




この木大好き。





こちらもスダジイ。

とみおか名木十選に選ばれし古木。



同じくとみおか名木十選の『銀杏』。

回りには黄色の葉が散っている。



貫前神社で一番印象に残ったのは
素晴らしい樹木だった。





境内側から見た大鳥居。

その向こう側に広がる旧上野国。

天空鳥居と言っても良い
最高の景色だった。


名残惜しくも、
そろそろ高崎市に戻って仕事だ。



ヒコーキ雲。

まるで「矢」のように太陽を射貫く。


次の行き先を示してくれているのだろうか。



最寄りの駅『上州一ノ宮駅』。

ローカル感がたまりません。



ふと見上げると、
龍のような蛇のような雲。

この地の伝承に基づき、
『龍蛇雲』の名付けた(勝手に)。


この後のお仕事もうまく進み、
とても良い日になった。

富岡市、最高に良い町です。


翌日は、茨城県つくば市。

宇宙に近い町をゆく。

つづく。

ではまた❗






 
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