↑のつづき。


さて、覇王『スサノオ』の末子にして、出雲の正統王位継承者、そして『大国主』の妻という
『須勢理毘売命(スセリビメノミコト)』。

御子神は無し。。

どうにも不可解である。

ここまで重要な女神なら、むしろ嘘でも「多くの子を産み、その子達は多くの武勇伝を残した」となるはずである。

この違和感にも、記紀編纂者の思惑が潜んでいそうだ。


実は、スセリビメを深堀していくと、どうやら出雲神話というものは、出雲のみならず、日向国の神話にも深く関わってくるようなのだ。

恐らくこの話は、『日本の起源は土着の出雲派』や『天孫降臨万歳の日向派』のどちらの派閥に入ってしまっても、見えてこない一説である。

あくまで、一説として。。


さて、結論から。

「スセリビメはイチキシマヒメと同一神」。



スセリビメは『須世理姫』とも書く。

「世」を「セ」ではなく、「ヨ」と読んだ場合…
『スヨリビメ』となる。

さあ、そこで出雲方言の話である。

出雲方言は「西のズーズー弁」と言われ、東北に近い発音で話されている。

特にその特徴が出る方言を「裏日本方言」と呼び、例えば「ス」と「シ」の発音の違いがあまり無い為、「寿司」が「スス」とか「シシ」などと聞こえるのだそうな。


以上のことから「サ行」は大変聞き取りにくく、それを文字に起こした場合、多少の変換ミスが起きるのは当然である。


例えば、「スヨリ姫」が本当は…

『サヨリ姫』であったかも知れないのだ。

サヨリ姫とは、宗像三女神の一柱『市杵島姫命(いちきしまひめ)』の別名である。


さて、混乱しつつも、九州に近づいた。

 市杵島姫神社には 『市杵島姫命』は九州に天孫降臨した『ニニギ』の育ての親だと書いてあるらしい。

○福岡県宗像市の『宗像大社』。
その祭神は、
市杵嶋姫神(辺津宮
配祀 
田心姫神(沖津宮) 
湍津姫神(中津宮)

○京都府宮津市『籠神社』。
絵馬には市杵嶋姫。


その神宝は、
海部直伝世鏡「息津鏡」「辺津鏡

「おきつ鏡」と「へつ鏡」。

これは大国主を助けるために『スセリビメ』が使用した『蜂の比札』『蛇の比札』と同じく…



『十種神宝』の中の二つの鏡。

まさに正統後継者が所有する宝であるのだ。

この時点で、『スセリビメ』と『イチキシマヒメ』は大分近づいた。

さらに、宗像三女神は実は元々1人の女神である…という説がある。

文献によって、その名がバラバラに並べられ、一体誰が本当の三女神かわからない、というのもあるだろうが、

正史上では、宗像三女神はアマテラスとスサノオの『誓約』によって誕生しているが、その場所は高天原にある川『天安河』である。


そして、天の安河と言えば、奈良県吉野郡天川村に鎮座する『大峰本宮 天河大弁財天社(天河神社)』である。

無論、祭神は弁財天と同一とされる『市杵島姫命』なのだが、問題はその天河神社発祥と言われる『天河弁才天曼陀羅』に描かれている弁才天(イチキシマヒメ)が…


三つ首で一柱になっているのだ。

これこそが、宗像三女神が元々一つであったことを示す暗号なのではなかろうか。

スセリビメとイチキシマヒメ(宗像三女神)。

スヨリ姫とサヨリ姫。

これで同じ「港」にたどり着いた気もする。

その昔、「港」は「津」と言った。


須世理津→サヨリ津→世織津→瀬織津姫。

無きにしもあらず。


しかし、そんなことを言いたかった訳ではない。


スセリビメと同じく、消されている神様に気づいたのだ。


それは恐らくスセリビメや、出雲神話の影響を色濃く残しているであろう日向国の話。

ニニギとコノハナサクヤ姫の三柱の御子神達。
(三女神とか三貴子みたいな「三」で括られた神様基本怪しい)

長男
『火照命 (ほでりのみこと=海幸彦)』
次男
『火須勢理命 (ほすせりのみこと)』
三男
『火遠理命 (ほおりのみこと=山幸彦)』


さて、海幸山幸の神話は日本神話や古事記がお好きな方ならご存知だと思うが、次男『ホスセリ』に関しては余り記述がない。

『スセリ姫』と『ホスセリ』。

似た名前。



消された神様。




何故か、心の隅っこに釣り針が引っ掛かった気がした。



つづく。

ではまた❗


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