たまには実話でも。文字に起こすと大したことねえが、毎年のように思い出してしまう出来事。怖い話なので苦手な方は震えてくれ。
中学3年の時、美術の授業前に友人と4人で美術室前のトイレに行ったんだよ。
トイレに入ってみると、いつも机を掘ってるような地味な男(仮名:鷲津)が1人洗面台の前で死んだような空気醸し出してて、俺らに気づいた瞬間『ヒャアッ!スッ、スイマセッ!!!』って逃げるようにその場から立ち去った。
「誰だあいつは。どうしたんだ。」と言いながら、洗面所エリアを抜けて便器が並ぶエリアへ足を踏み入れた瞬間、本当にこれ誇張じゃなく、俺にはキープアウト立入禁止テープが見えたし、激臭どころじゃない人を死に追いやりかねないような臭いがしたんだわ。
よくある話だったら『くっせぇwwww』とかで盛り上がるところだけど、それどころでなく、笑いたいけど臭すぎて顔がどうしてもしかめっ面になるっていう表情筋の限界を感じつつ、誰が言い出したでもなく臭いの元の個室を開けてみるわけよ。
まぁ当然モノはあるわけで、洋式便器の中にはバベルの塔が建築されてて神の逆鱗に触れてる状態なんだけども、なんかそれ以上に様子がおかしいっていうか、イスラム過激派のテロといわれても納得の光景がそこにはあったんだ。
普通じゃねえことは臭いからもお察しなんだけども、便器の蓋の裏表両方にモノがついてるってことあるんだな。
そしてなぜかガムくらいの大きさのモノが、踏み潰されたような、あるいは縄文土器のような模様をしながら点々と隣の和式個室の入口へ繋がってるんだ。
もうこいつぁ事件だよ。犯行動機は不明。『むしゃくしゃしてやった。後悔はしていない。』などと供述しており…。
多分彼は尋常じゃない便意のビッグウェーブに焦りも重なり、蓋が開いてない状態の便器に座り、『ああ!開いてねえ!』ってなって蓋あける作業中に足元にポロリ、さらには開けたはいいけど、『便器に収まらねえジャックと豆の木だ!!とりあえず蓋閉め…んあぁぁ閉まらねぇ!!』しまいにゃ踏んでしまったからとつま先立ちで隣の和式便器に足を入れて洗い、これからどうすりゃいいんだとうなだれてるところに俺ら登場でとりあえず謝罪、逃亡…という推理に。
今になって思えば、あいつはハンターハンターのネテロ会長みたいなもんなんだよ。
5年、あるいは10年か…。気を整え、拝み、祈り、構え、出す。そして臭いを置き去りにした。
ってわけで、これだけのモノをしながら本体が無事な訳がねえと、友人のうち2人が急いで奴を追いかけてみると、教室で席に座ってるのを発見。そして我々の思考を凌駕する事実を掴む。
『何を言ってるか分からねえと思うが、間違いなく奴の制服の背中にもついてる。』
もう訳がわからないよ。
あいつは今どんな気持ちでモノを背負いながら授業受けてるんだ…?周りはどんな思いをしてるんだ…?
美術の授業中は皆で推理合戦よ。
『個室でリンボーダンスの失敗とともに漏らした。』『便所で死のうとダイイングメッセージを作成していた。』『あまりの量に戸惑い、とりあえずブリッジした後、復帰に失敗して背中についた。』『伸身の新月面は栄光への架け橋だった。』などが有力な線であったが結局答えは出ず、マジで何だったんだろうなと美術の授業が終わり、保健室前を通る際に何気なく保健室に目をやると、中に見えたのは先生に怒られながら掃除用の洗面台で身体を洗うスカテロリスト鷲津の姿だった。
後日談になるがその行為は『沐浴』と呼ばれ、その保健室の掃除用洗面台からは御神酒が出ると言い伝えられたとさ。
