こんにちは。久しぶりの投稿になります。 今回は、ここ最近の音楽制作の中で「これは地味だけど助かっているな」と感じた変化について書いてみます。派手なテクニックや裏ワザというより、日々の作業を少しだけ楽にしてくれた話です。
いつもの制作ループに感じていた違和感
私は主に動画向けの音楽を作っています。SNS用の短い楽曲や、クライアント案件が中心です。
以前の制作フローはとてもシンプルでした。曲を仕上げて、ステレオの WAV に書き出す。その後で、 「ベースが少し大きいかも」 「ボーカル、もう少し前に出したい」 と気づいて、また DAW を開き直す。
この繰り返しが、思った以上に集中力を削っていました。修正自体は小さいのに、気持ちの切り替えに時間がかかる。制作の流れがそこで一度止まってしまう感覚がありました。
クライアントの一言で考え方が変わった
きっかけは、ある動画案件でした。 納品後に「ドラムを少し抑えて、シンセを明るくできませんか?」という、よくある調整依頼が来たんです。
問題は、元のプロジェクトファイルが手元になかったこと。残っていたのは最終的なステレオ音源だけでした。
一から作り直す余裕はありません。そこで初めて本格的に調べたのが、いわゆる AI Stem Splitter と呼ばれる技術でした。
仕組みを知ってから使うと納得感が違う
この手のツールは、完成した楽曲をボーカル、ドラム、ベース、その他のパートに分離します。完全ではありませんが、機械学習を使って「音を聴き分ける」仕組みです。
技術的な背景をざっくり理解するのに役立ったのが、音源分離について解説している Wikipedia のページでした。
仕組みを知っておくと、「できること」と「できないこと」の線引きがしやすくなります。
実際に試してみたときの正直な感想
まずは自分が過去に作った、3分ほどのエレクトロ系楽曲でテストしました。中身を把握している曲を使ったのは、結果を冷静に判断したかったからです。
出力されたのは4つのステム。
-
ボーカル:思った以上に自然。リバーブの残りは少し混ざるが実用範囲
-
ドラム:全体のバランス調整には十分
-
ベース:かなり明瞭で扱いやすい
-
その他:広がりのあるシンセは少し揺らぎが出る
正直、「完璧」ではありません。ただ、今回の目的は再ミックスではなく、軽い修正でした。その点では十分役に立ちました。
うまくいかないケースもちゃんとある
何でも分離できるわけではありません。 歪みの強いギターとシンセが重なった曲を試したときは、音がにごってしまいました。
これはツールの欠点というより、音が密集しすぎている状態では判断が難しい、という話だと思っています。
このあたりの限界については、Deezer が公開している Spleeter のドキュメントが参考になります。
過度な期待を持たないことが、結果的に満足度を上げてくれました。
制作の中に自然に溶け込んだ存在
今では、必要なときだけステム分離を使うようになりました。 いくつか試した中で、MusicAI もその一つです。常に使うわけではありませんが、修正作業の補助としては十分です。
実感として、短尺動画用の楽曲修正にかかる時間は、以前より15分ほど短くなりました。大きな変化ではありませんが、積み重なると余裕が生まれます。
使ってみて気づいた小さなコツ
-
過度に潰したミックスは分離しにくい
-
極端に広がった音は他のステムに混ざりやすい
-
音量をそろえてから判断しないと印象がズレる
音の知覚については、Spotify のエンジニアリングブログも参考になりました。
最後に
この手の技術は、創作を置き換えるものではないと思っています。 あくまで、面倒な工程を少しだけ減らしてくれる存在です。
作業の流れを止めずに済む。それだけで、制作はだいぶ楽になります。 同じように修正や締切に追われている人には、試す価値のある選択肢だと思います。
