N/F NO FACTER -8ページ目

N/F NO FACTER

剣と魔法の世界「アスタシア」を舞台にしたファンタジー小説。
謎多き主人公アレルと連れのゼイラ、
その他キャラクターたちの冒険活劇です。
アレルとゼイラ、二人の恋愛要素もあります。

「どうしたというんだ?」

キィルは困惑した。

宝石を持参した、キィルを険悪なムードで

魔族たちは迎えた。


そのうち、魔族の牢屋番のような人物が

アレルを連れてきた。

武器は奪われていたが

アレルもそんなにぞんざいには扱われてなかったような雰囲気だ。


パーティーメンバーたちは、姿くらましのマントを被ったまま、

この大部屋の入り口のあたりに待機している。

フォースの送る合図でキィルもそのことを確認している。


もちろん、アレルにそのことをまだ伝える術がないので

アレルだけ、知らない状態ではあった。

アレルに伝えたほうがいいだろうか?でもどうやって?

キィルはまだ、その術を思いつかない。

それに…


「アレル、どうして俺はこんなふうに魔族に睨まれているのかな?」

キィルを見て、あきらかに態度が変わった魔族たち。

その理由が知りたかったのだが…


「キィル、魔族たちと交渉していて、裏切って結果、

魔族たちの離散のきっかけになった

エルフに君が似ているらしい…」


「!?」


キィルは言葉を無くした。

実は、キィルはあまり過去の記憶が定かではない部分があった。

まったく過去の記憶のない、ティオよりはマシだろう。

だが、なぜか昔のことを考えると記憶に靄がかかったように

思い出せないことが多いのだ。


それは、エルフの古都フェルメール滅亡の際に逃走して、

途中落ちてきた瓦礫でひどく頭を打ち付けたからだと思っていたが…


「コンオテャゼレーザ!」

魔族の一人が声を上げた

「ソアラソララ」

魔族たちがキィルを忌々しげに指さして云った。


「間違いないって言ってる」

アレルも顔を青くしてキィルに伝える。


「そ、そんなはずは…うっ!」

過去を思いだそうとしたキィルの頭が痛んだ。


そこに、魔族の長が現れて、

やはりキィルを見て顔色を変えた。


「これはまずいことになった」

アレルも顔面蒼白だ。


よもや、宝石を糧に交渉をしようとして、

派遣したキィルの顔が魔族の離散の

きっかけになったエルフに似ているとは…


次に現れた魔族の兵長らしき人物と

魔導師らしき人物がなにやら小声で言い争っている。


「エタシータトエ?」

「アレル、なんて?」

こちらもだんだん状況がまずいことになったと

肌で感じているキィルがアレルに通訳を頼む。

「そいつの名前は?と聞いてる。」

「応えていいのかな?」

不安そうにキィルがアレルに聞いた。

「言うしかないかな」


一呼吸おいて、キィルが名前を名乗った

「キィルデュエロ・アラカンサスタ=ラルドセル」



場の空気が一変した。

何が起こったというのだろう?

キィルは霞んだ昔の記憶がまだ見えてこないことに戸惑いと

自分の知らない過去に何か、

しでかしたかもしれないという恐れを感じた。


「エカ、エシーク!」

そう、先ほどの位の高そうな魔導師が叫ぶと

魔法を詠唱し、閃光弾を放った!


「あぶない!」

目くらましのマントを脱ぎ棄て、

誰かがキィルの前に立ちふさがる!


第28話 ③ 終わり、 ④に続く…


***


キィルの顔をみて、場の空気が変わった今回のお話。

キィルの過去になにがあったのでしょうか?

それは、今後の流れで出てくる予定。