あの、騒動からちょうど1ヶ月が過ぎた。
明日はちょっとした記念日になる。
「ふぁ~!」
大きな声をあげたのはゼイラ。
あの日から1ヶ月。
ゼイラは手仕事の依頼を受け、今日漸く完成した。
それは、白のチュールに
同じ白い糸で刺繍したベールだ。
それをかぶるのはゼイラではない。
結婚式はザインとゼロのものだ。
1ヶ月前のこと。
アレルが魔族との交渉に臨み、
その場に現れたキィルを視て怒り出した
魔族たち。
キィルは記憶を失っていたが
魔族との橋渡しをする予定が不和により
仇と思われていた。
それが、ピートの暗躍により、
無事交渉は成立し、世界が平和になる一歩を踏み出した。
これから、相互理解と交渉が本格的に進み、
魔族と人間、そして多民族、とくにエルフとも
仲を取り持っていく役割を主にルアーガの
外交官たちが担う。
本当の平和にはまだ、少しの猶予が必要だ。
だが、この一歩は大きな一歩と言えるだろう。
昨日夜なべしてベールの仕上げをたった今終えた
ゼイラは少しの休息を取っていた。
「ゼイラ」
明日の準備のため公務を早めに切り上げたアレルが
塔に戻った。
「ううん、むにゃむにゃ。」
ゼイラは机に伏してすっかりいい夢をみている。
「ふふふ…」
アレルはそっとゼイラに近づくと
そっと頬に口づけした。
そして、すっと手を出すとゼイラの着物の
前合わせに少し手を入れる。
最近ブラをつけだして、すこしだけ大きくなった
ゼイラの胸を弄ぶ。
と言ってもせいぜいAがBに近づいたに過ぎない。
まだ成長期であるから、これからに期待したい。
「あっふぁっアレル!もう!」
ゼイラが感じた声を出してしまった恥ずかしさで
アレルを睨む。
「ごめん、つい…」
アレルも顔を赤らめる。
「不意打ちはやめてくれよ
おれも心の準備って言うもんが、さ…」
あの二人の未遂事件から
アレルはゼイラとのスキンシップを大事にしている。
ゼイラの月のものの時やお疲れモードのときを
外して、肌に触れることを楽しんでいるようだ。
そして、狭すぎる…の拡張に励んでいる。
やっと指が2本入るようになり、近々再チャレンジを
ひそかに計画中だ。
「ベール、できたんだな」
「そう、さっき」
あれるはそういうとすっと窓にチュールのベールを広げてみた。
「すっげぇ」
日の光に透けて、金糸もところどころにちりばめられた
美しい白のレース。
「商売になるな」
アレルがにまりとして言う。
「…もうなってるつもりなんだけどな」
「俺の将来の嫁は手先が器用ってわけか。」
アレルはそういうと
「んっ…」
ゼイラの唇を突如求めた。
「はっ…」
吐息がすぐそばにある感覚。
「もう!」
ゼイラはそういうとアレルから少し離れた。
「これから届けにいかなきゃなんだからな!」
「あ、わりぃ」
「ばかやろう」
ゼイラはドキマキする気持ちを
抑えながらその場を後にした。
レースを自分であしらった
買い物かごにベールを詰めて
教会の控室に向かう。
そこにはちょうどドレスの試着をしていた
ザインが居た。
「ザイン…きれい」
ザインは白いウエディングドレスを身に纏っている
「女装、みたいじゃないか?」
ザインが恥ずかしそうに俯く。
「そんなことない」
「女の格好なんて、久しぶりすぎて恥ずかしい。」
ザインは男装の麗人である。
その過去には様々な葛藤があっただろう。
「きれいだから自信持って!」
「ありがとうゼイラ。」
二人は笑い合った。
「これ、」
「ベール、間に合ってよかった」
ゼイラからまだ完成していないと聞いていた
ザインは間に合わないかもしれないと凹むゼイラに
「このままで十分だと思うけど」
と笑って云ってくれたのだ。
そんなザインに応えたいとすこし、徹夜をした。
間に合ってよかった…
「ゼロ、きっとびっくりするよ!」
「ありがとう」
式は、明日だ。
ザインはまだ今のところ、マリッジブルーとは
無縁のようだ。
そのころ…新郎は…
第29話 結婚と戴冠①終わり ②につづく…
***
前回のゼロのキャラ紹介が
新年1発目でしたが
コメントで書くのを忘れておりました。
あけましておめでとうございます!
今年もゆるゆると続きをしたためますので
たまに更新があったらぜひチェックしてやってください。
今年もよろしくお願いします♪