「いってらっしゃ~い!」
ゼイラは飛竜で飛び立っていったアレルを見送った。
「はぁ…」
昨日あったいろいろな出来事でゼイラはまだドキドキしている。
アレルが、自分の肌に触れた。
そして…
「はぁ…」
溜息の理由は明白だ。
「どうだった?」
サザンがいつのまにか隣に立っていた。
「わ!」
気配に気づかなかったゼイラはびっくりしてサザンをみた。
「サザン、いつのまに…」
先日まで、サザン「さん」と呼んでいたが
サザン自身が「さん」はやめてと要求してきたので
最近は呼び捨てにしているがまだ慣れないゼイラである。
「昨日、進展があったんじゃない?」
そう云ってサザンはウィンクした。
「ありました…けど。」
占い師のサザンに嘘はつけない。
「寝た?」
あけすけに聞いてくるのでドキドキする。
「…いらなかったんです…」
「え?ああ…」
サザンは察したようだ。
昨日、アレルがゼイラの服を脱がせ。
前戯を終えていざという時。
ゼイラのそこは狭すぎて…という事だ。
15歳の初潮を迎えたばかりのゼイラなので
(無論、初めてであったし)
しょうがないとはいえ、ショックは大きかった。
アレルを迎え入れることができなかった。
ゼイラはべそをかいたが
アレルは少しづつ馴らしていくしかないと
ゼイラを抱きしめてくれた。
そして…
アレルの出生の秘密やら
いまの宿主に至るまでの半生を
いろいろ聞かせてくれた。
長すぎて途中でどちらともなく寝てしまったのだが…
「サザンさん…いや、サザンは知ってるかもしれないけどアレルは…」
「星の使者、でしょ?」
ゼイラはコクン、と頷く。
アレルはこのアスタシアの大地を
神がおつくりになったとき、星を見守る使者として
作られた星の石が本体だという。
やがて、星に人が生まれ、使者も人の姿を借りなければならなくなった。
そこで…
今の宿主は、ルアーガ王、セトナの叔父にあたる人だ。
彼は生まれてすぐ、アレルの宿主として抜擢された。
そして、20歳を迎えたとき、叔父の体は星の使者「アレル・シード」を宿し、自身は
その思考を停止した。
「無口な人だったらしくて、セトナはよく彼に悩みをうちあけていたらしい。
ずっと黙ってなんでも聞いてくれたって。
急に赤子に戻った叔父と俺として様子が違う様に最初は反発していた。」
アレルはそう云っていた。
アレルを宿すのに適した人物はなかなか居ない星の祝福を
受けた人物だという。
だからして、使者でありながらも宿を借りれない時期も長く存在するという。
「無事に帰ってきてくれるかな…」
「聞きたい?」
流石に占い師である。
アレルの先もお見通しだ。
「いや、やめておくよ…」
今度こそ、ちゃんと、したい。
アレルには帰ってきてもらわないと困るのだ。
それに帰ってきたらアレルに先日完成したアラン編みのニットを
着てもらう予定だ。
「ふぁあ~」
昨日の夜更かしで今日は眠い。
あとで客人が来る予定だかそれまで寝てよう
…そう思いながら塔へ戻っていくゼイラであった。
・・・
一方、ルアーガの王、セトナは妻のダイアナに
こんな話をしていた。
「アレルの体が成長してる。」
「あら。」
ここ数回の謁見でアレルは16歳程度の
見た目から急に大人びて19歳くらいの外齢に変わったのだ。
いろいろ気苦労があるから老けた、ということではなく…
「やはり、恋人ができたからかなぁ。」
「そうかもしれませんわね。」
アレルは、長い事15歳くらいの見た目に落ち着いていた。
ゼイラと出会ってみるみる育っていく彼を
もとは自分の叔父であるのに息子のように感じる。
不思議なものだ…最初はあんなに反発したのに。
セトナとダイアナ、二人は笑いあった。
・・・
「よう、バド」「ああ、ジェザか」
行商人のバドバドツェル、通称バドのもとにジェザが訪れたのは
正午をすこしまわってのことだった。
「行こうか?」「ええ」
ジェザの魔法で一瞬にして二人は塔に着いた。
「わ!」
驚くゼイラのもとに、ジェザとバドがあらわれた。
「呼んだのはこちらだけど、こんな来かたなんて…」
ゼイラはぐちぐち云っていたがジェザはおかまいなしだ。
「今日はごちそうになります。」バドがにっこりほほ笑む。
ゼイラは自分が女だとつきとめてくれたジェザと
地球儀をくれたバドの二人にぜひお礼がしたいという
書簡をアレルに黙ってこっそり出していたのだ。
「どうだ?男女の関係にはもう発展したのか?」
ゼイラは昨日のあれこれを思い出して赤面した。
「……ご想像にお任せします。」
「ふふふ」そんな様子をみて笑うジェザが内心腹立たしい。
ゼイラ的なフルコースの料理を二人に振る舞う。
「いや、しかし、アレルの瞳の美しさと言ったら」
バドがなぜかアレルの容姿の美しさ、
とくに眼球の美しさを讃えはじめた。
「あの体が死んだら瓶に入れて保管したいな」
バドの話にジェザも乗っている。
それを聞いてゼイラは飲んでいたこぶ茶を吹いた。
「しょ、食事中にそんな話しないでください!」
「冗談、だよ。」
目が笑っていない。
半分本気かもしれない。
二人で一個づつ公平に分けようという
よくわからない結論に達したジェザとバドだったが
ゼイラは断固認めないつもりだ。
アレル、無事に帰ってきてくれ…
ゼイラは二人をもてなしながら
アレルを強く想っていた。
今までより、一層。
火照る体に触れて。
鎮めてほしい。
強く。そう、願った。
そしてそんな考えに至った自分の
想像のあれこれに赤面した。
「何想像してるの?」
ジェザがにたにた聞いてきたので焦る。
「べ、べつになんでもございません!」
かぁっと頬が熱くなるのを感じた。
…
第37話 ②終わり 第38話に続く…
***
またも、未遂です。
二人はいつ結ばれるのでしょう…
作者のみぞ知るw
1章の最終話まであと3話です。
とくに次の38話は長丁場となりそうです。
おたのしみに!