「本当にこんな方法で大丈夫なのか?」
ゼイラが心配そうに声をもらす。
「やってみる価値はあると思うんだ。」
キィルがにやっと笑った。
アレルが魔族の交渉に向かい、さらなる宝石を無心され
ルアーガに居るキィルは残りの宝石や
他国からの援助で宝石をあつめた。
アレルの交渉の場に持参する運びになったのだが
パーティーメンバーたちが全員自分も行くと云って譲らない
状態になったのだが…
キィルの提案というのは。
こうなったらパーティーメンバー全員で行こう、ということ。
無論、こんな大所帯では魔族側も不審がる筈だ。
だが、それを可能にする魔法のアイテムが存在する…
「この姿くらましマントを全員で被れば問題なしだ。」
その、魔法のアイテムはルアーガの偵察部隊で使われる
特殊な魔法のかかったマントだ。
偵察部隊が偵察の際、一時姿をくらますために
開発された秘密アイテムだ。
キィル作の宝飾品と引き換えに偵察部隊の隊員が
代金として置いていったことで存在を知った。
偵察部隊の隊員は、結婚を控えており、
結婚指輪の制作と引き換えにこのマントを代金に充てようと
キィルにこっそり持ちかけたのだ。
最初は訝しんだキィルであるが
そのうちなにかの役に立つかもしれない。
そう思い、と交渉に応じた。
キィルはその隊員と交渉して、
パーティーの頭数全員分と引き換えてもらっていざという時のために
用意していたのだ。
「そんな便利なものがあるなら使わない手はないよな」
フォースが一番乗り気だ。
まさか、こんな形で役に立とうとは!
調達したキィルも自分でびっくりした。
ちょっと大所帯になってしまうので、
飛竜に2人づつ乗るとして。
ルアーガの南のケメール族の住処まで
そのまま全員で進むことにした。
今は旅支度でバタバタしている。
アレルが今、魔族側に幽閉され、人質同然だから、念のため
戦闘態勢も必要だ。
結果、飛竜には
キィル ローラ
ティオ フォース
サザン ゼイラ
この振り分けで行くことにした。
3頭の飛竜で現地に向かう。
「俺も行きてぇなぁ」
ノッヂがそう腕を回しながら嘯いたが、なにせ
姿隠しマントの数はパーティーメンバー分だけだ。
アレルのぶんのもう一枚があるのだが、
帰りにアレルに必要になるかもしれない。
なので、ここでノッヂに使わせるわけにはいかなかった。
ノッヂも自身として、まだこの面子全員に自分の魔法のこと等を明かしていない
こともあり、(ノッヂは地の属性のものであれば、何にでも体を変形できる)
無論、ノッヂのような武闘派はマントを必要としないかもしれないが…
そんなに食い下がることもできなかったので
結局、この6人での行動が最善という事で落ち着いた。
日が陰りはじめている。
アレルのもとへ、たくさんの宝石をかついで
キィルたちパーティーメンバーは
それぞれドキドキしながら現地へと向かうところだ。
何があるかわからない。
でも、このメンバーなら。
なんとかなりそうな気がみんなしていた。
それは、全員同じかもしれない。
いつの間にかこのメンバーの絆は
強く育っていたようだ。
キィルもそんなことを考えながら
心強さに安堵した。
それぞれの飛竜に2人づつ跨り
「じゃあ、出発だ!」
キィルの号令に3頭の飛竜は同じ方向に
隊列を組んで飛んで行った。
ノッヂは珍しくシリアスな顔でその
飛竜たちを見送った。
だんだん小さくなるサザンの背中を見つめて。
細い目をさらに細くして黄昏の空に消える
ちいさな点を心配そうに見ていた。
「何もないといいんだが…」
第28話 ②終わり、 ③に続く…
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アレルのもとに集うパーティーメンバー。
キィルだけでなく、全員で向かうことになりました。
そのことが吉と出るか凶とでるか!?
それが今後の話の進展にいろいろ
余波をもたらしますのでその辺を見て頂ければと
思いつつ筆を走らせております。(実際はキーボードでタイピングですがw)
できれば今年度中に今作をと思いましたが
この調子だとちょっと来年にはみ出るかな…
まだまだ続きますのでお楽しみに!