「ま、しょうがないわね。」
サザンはそういうと、占いの店の準備を始めた。
前話で、無事3つめの宝を手にしたアレルたち。
その後、ザイツに向かったがフォースが元仲間に裏切られて
大借金を負ってしまい、それをアレルが立て替えた。
旅の資金が尽きてしまったのだ。
とりあえず、トトとカカという諜報員に連絡を取り、
資金の移送をお願いしたが、しばらく宿代も危うい状態だ。
そこで、サザンの占いの資金で当面の暮らしを
工面しようという算段だ。
占いの小屋の簡素的な用意ができた。
アレルの魔法で、ちょっとしたサイドテーブルのようなものを
召喚して。
それにアレルのマントをかけた簡易的な占い店だ。
「本当に、申し訳ない。」
フォースががっくりしている。
自分のせいで、みんなの旅の資金がなくなったのだ。
「そんな凹んでるくらいだったら、客引きでもしてきて。」
サザンが励ますような言いかたでけしかけた。
「ふぁーい、行ってきます。」
アレル、ゼイラ、フォースの3人が客引きに向かった。
キィルはティオとともに、手に入れた宝石類を
一旦質に入れに質屋に向かっている。
ローラは、トトとカカがいつ来てもいいように
連絡係として宿に待機していた。
まぁ、しょうがない。
一人はみんなのために、だ。
パーティーは一連托生、なのだ。
そう思いながら占いに応じそうな
若い娘はいないかとキョロキョロ見渡した。
小さな娘(8,9歳くらいと思われる)が
ウサギの大きなぬいぐるみを抱えて歩いている。
「ちょっとお嬢さん」
「はい?」
アレルは少女の前でひざまずくと
「占いはいかがですか?」
少女は確かめるように、アレルの全身を
くまなく見渡している。
「あなたが占ってくれるの?」
少女はきらきらした瞳をアレルに向けている。
「おれの仲間が占い師なんですよ」
アレルは、基本、子供にも敬語で話しかける。
トトとカカくらい親しくなれば別だが、
お客様や上司の子どもなど敬語のほうが
良い場合が多い。
「では、エスコートしてくださる?」
その娘はそう言うと、すっと手を差し出した。
「よろこんで、」
そう言うとアレルは彼女の手を優雅に取り、
エスコートして歩き出した。
「あなた、なかなかいいわね。」
少女がアレルについて歩きながら
アレルの顔や服装をちらちら見ている。
「光栄です」
あくまでビジネスな態勢を崩さないアレルだ。
「あれが、あなたのような方ならよかったのに…」
少女が何かに向かって、ぶつぶつつぶやいている。
アレルは独り言だろうと思い、とくに意識していない。
そうこうしている間に、サザンの占い店に到着した。
「ふぅん。悪くないわね。」
ゼイラとフォースはまだ戻ってきていない。
一人目のお客様だ。
「いらっしゃい。」
サザンが顔にベールをかけた
占い装束で水晶玉をのぞく。
「何を占いましょうか?」
「そうね…」少女はしばらく考えた後、
「私がどの方向に向かえば楽しいことがあるか、
それを占って。」
「わかったわ。」
サザンはそういうと、少女の手を取ると
水晶球に触れさせた。
そこにやんわりと光がともり、
なにかもやもやした景色が見えた。
「あなた、本物ね。」
少女も不思議そうに水晶を見ている。
「でたわ」
「北がいいみたい。」
そういうと、水晶から見えていた
もやもやと揺れる景色と光が消えた。
「ありがとう」そう言うと、少女は台上に
ぬいぐるみから取り出した金貨を3枚置き、(鞄だったようだ)
北方向に向かってすたすたと歩いて行った。
「最初から、はずんだお客さんがきたものね。」
通常、占い1回で銅貨5枚ほどの収入である。
破格のお客様が来たものだ。
その後、ゼイラが恋する悩める青年を連れてきたり、
フォースが女性客を大勢団体で連れてきたりで
占い小屋の集客はなかのものだ。
午後を過ぎるころには目標金額を達成した。
「これだけあれば、1か月は滞在できるな。」
アレルはサザンの占いを侮っていた、と感じた。
本当にすごい。
仲間に引き入れて(自らやってきてくれたが)よかった。
そろそろ店をたたもうか、と準備を始めたその時。
近くに荘厳な馬車が一台、止まった。
中から誰か出てくる。
オールバックの髪型に灰色の髪。
どう見ても、王族か貴族の男性だ。
歳は40代だろうか。
「ここの占いがよく当たるとのうわさで来た。」
そう言うと、紳士は机の上に腰掛けると。
「ちょっと折り入って相談があるのだが。」
ちょっと面倒くさそうな訪問者だ。
いったい何を相談しようというのか?
メンバーに緊張が走った。
第23話 幼女キラー①おわり、②に続く…
***
アレルの特性が出ました。
年配の女性にもモテそうですが
幼女の好みにもどんぴしゃなようです。
らくがきより、サザンとフォース
