「よいしょっと。」
担いだ少なめの家財道具と数多い占い道具を持って。
サザンはルアーガの地に立っていた。
ノッヂ=ルオークとお茶していろいろ踏み込んだ事もきいてみたりした。
だが、まだ恋人未満友達未満という感じだ。
「よかったら俺が荷物持とうか?」
「…ありがとう」
ノッヂも行くあてもないということで一緒にルアーガまでは来たのである。
ノッヂは兵隊宿舎に行き、なにか仕事のあてがないか聞きに行くという。
とりあえず、荷物を予約してある宿にあずけておくことを告げられ、別れた。
アレル、と言ったかしら。
先日占いに訪れたイケメンの青年。
夢に出てきたので彼を訪ねることにしている。
ノッヂと話したときに新しくできた飲み友達という人物と
かなり印象が合致しているのでまず、同一人物とみて
間違いはないだろう。
城に住んでいるという情報を得たので城に向かう。
問題はすんなり入れるかどうかということ…
門番に正直にこれまでの経緯を告げる。
どうやら、すんなりとは入れそうにない。
ルアーガは現実主義で魔法も一部にしか浸透しておらず
占いはあまり活発ではない国だ。
どうしようか…と思ったそのとき。
「あの~」
振り返ると水色の髪と瞳の美しい娘が立っていた。
「今、アレルさんの名前が聞こえたものですから」
ラッキーだ。
「あなた、アレルさんの知り合いですか?」
「はい、修道女でここルアーガで写本をしてます
ローラと申します。」
なるほど、ローラさん。
タイミングよく通りかかってくれてよかった。
「私はサザンと申します。占い師でアレルさんとも
面識があるのですが、おりあって訪ねてきました。」
「そうですか」
ローラはどうやらアレルが好きなようだ。
なんとなく、占わなくても、わかる。
あたしのことも、なんとなく、ライバルかも?という態度だし。
「アレルさん、私もさっき訪ねたのですが今留守なんです。
ゼイラさんによると夕方には帰るようですので
よかったらそれまで一緒にお茶でもしませんか?」
そうだ、飛行船では全く食事をしなかったので
今、かなりの空腹だ。思い出したかのようにおなかが鳴る。
「ぜひ。」
二人は城の入り口からすこし東に行ったカフェに入った。
サザンは見た目の小柄な容姿から想像しがたいくらい
よく食べる人物らしい。料理を3品オーダーしそれを黙々と食べた。
ローラは、とりあえずコーヒーだけのオーダーだ。
「へー、じゃあ、あなたの夢にアレルさん達が?」
「そうなんです」
自分が占い師で総合的な占いをやる、
という話をローラに伝えた。
でも、自分は占えないので夢見だけが頼りなのだ、と。
「貴女も、夢に居ましたよ。」
「え!そうですか?」
ローラはうれしそうに言った。
夢に出てきた人数は朧げながら覚えている。
先日占いに来た、アレルと赤毛の少年、銀髪の少年。
それから水色の髪のこの彼女。それとあと二人…
「占い師さんなら、友達の恋の相談、乗ってもらおうかな。」
いきなり恋の話が始まった。
「これは友達の話なんですが」
サザンは思った。女子の友達の話、というのは結構あてにならない。
自分の話の場合が多々あるのだ。
この場合はどうだろうか。
「友達に好きな人が居て、その人に好きな人が居るみたいなんです。
それで、好きな人とどさくさに紛れてキスしようとしたら、拒否られたとか。」
うーん、自分の話くさいな。
サザンはそう判断した。
「で、その原因は友達の好きな人に、好きな人がいるらしくて…」
そう云って、ローラは顔をしかめた。
「なるほどね。」
占い師として、思う。彼女はキスしようとしたことで
愛情が伝わっていると思っている。でも…
「あなた、そのお友達はちゃんと相手に好きだって
言葉で伝えたのかしら?」
「え?」
思いもよらない発言にきょとんとした顔をしたローラであった。
「あの…伝えてない、みたい、です。」
「だったら、まず、伝えないとね。」
今すこし、ちらっと見えてしまった恋の結末だが。
まだ、わからない。とりあえず、まずは気持ちを伝えないと。
話はそれから、だ。
「あたしも友達の恋の話、していいかしら?」
「あ、はいもちろん。」
あたしも友達の話、と称して自分の話をしてしまおう。
「友達の好きな人が、過去に忘れられない人が居るみたいなんです。」
「はぁ、」
続けて話す。
「友達の好きな人は傭兵で、過去の人が忘れられず
次の恋になかなか踏み込めないようなんです。」
「そうですか。その過去の女性はご存命ですか?」
なかなか鋭い問いだ。
「亡くなられたそうです。だから、よけい想いが強くなってしまってるみたいで。」
しばらく沈黙が続く。
「友達のことながら、お互いつらい恋ですね。」
料理を食べ終わった。
ローラもコーヒーを空にした。
「よかったらケーキも食べませんか?
このカフェのケーキ、美味しいんですよ。」
ローラがそう提案した。
サザンは、ケーキは全くの別腹でいけるほうである。
「そうしましょうか」
サザンとローラの二人は甘いフルーツとクリームを添えられた
プレーンなシフォンケーキを二人で食べた。
恋が辛くとも、ケーキはおいしい。
ホーホー フィフィ
名も知らぬ鳥の鳴き声が聞こえている。
ローラは、あとでゼイラに何の鳥の鳴き声か
きいてみようと思いながらケーキをほおばった。
第14話 おわり 15話につづく…
***
恋の話をする女子二人のお話でした。
アスタシアは文明的にはまだ開けてませんが
料理の水準はかなり現代に近く進んでいる設定です。
なので、食べ物はいろいろあり、ケーキも
もちろん、普通にある感じです。
サザンとローラが同時に描かれたイラスト、こちらだけでした。
案外ないのね…
旧HPギャラリーより。
