第1話 平和調停。 | N/F NO FACTER

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剣と魔法の世界「アスタシア」を舞台にしたファンタジー小説。
謎多き主人公アレルと連れのゼイラ、
その他キャラクターたちの冒険活劇です。
アレルとゼイラ、二人の恋愛要素もあります。

「以上で平和調停の締結を宣言する!」
場内から、拍手喝采とワッという歓声が巻き上がる。
場内は独特の熱気に満ちている。

これまで、長い間争っていたタンジハルとウィンシャンの2国。
冷戦から一変、紛争も起こりそうな最中
あわや戦争という場面でルアーガが扇動し
話し合いの場が設けられた。

それに一役かったのがルアーガの外交官アレル。
彼は諸国の要人を集め、話し合いの場を設け
紛争の勃発をみごと食い止めたのである。

この、平均寿命が短いアスタシアの世界であっても
まだ若年といった風貌のアレルであるからして
外交官というのが大それた地位であることは他国の要人の
年齢層からして見てとれたのだが…

そもそも、事のおこりは、先祖が魔族であるなどと
暗いうわさの絶えない国ライナノーツェが
利益のため、タンジハルに兵器の陸上ロボを
大量に売りつけたことにあった。
長年タンジハルと争ってきたウィンシャンとの
冷戦に終止符をうつべく、宣戦布告をしたところで
すべてのからくりに気づいたアレルが両国をけん制し
あわや戦争開始という惨事から両国を救ったのである。

「アレル」
ルアーガ国の王がアレルに声をかけた。
「ルアーガ王」
アレルも応じる
「働き、ご苦労であった。さて、国に帰ろうではないか」

ルアーガ王、セトナ。
彼とアレルは実は血縁関係にあたる。
まだ少年の部類に入るアレルを
その卓越した外国語学力と手腕で外交官に指名したのは
このセトナである。

国の重役のうち、知っているのはごく一部であると
本人たちは思っているがいかんせん、顔が似ているので
多くの国の住人、城内のほぼ全員が
血縁であるということは把握しており、周知の事実である。

その関係と仕事についてはまた後日
触れる機会を設けさせていただくとして。

周りの諸国王たちに挨拶を済ませ、
二人はフライドラゴン(空飛ぶ竜)に颯爽と乗り込み
娘を嫁にという富豪や、今度宝物を送りますという
各国要人の申し出をやわらかくあしらいつつ。
帰国の途についた。


国につき、暫し宴の華やぎも終わったころ
アレルはセトナに謁見を求めた。

「このたびのそなたの働きぶり、感謝する」
「はい、ありがたきことでございます」
お決まりの常套句が続いたあと、アレルは切り出した。

「実はセトナ王、ここで提案があるのですが…」
「ほう」
「私は、一度国を出て世界のさまざまな情景をみてまわりたいと
思っているところでございます」

「そうか」
「はい、ますますの和平のひろがりと
他国の現状調査、我が国の力となる次世代の
有望人材の発掘に外交官として力をそそぎたいと…」
「なるほど、そなたのこれからの活躍にわたしは期待しておる
自信を持ってすすむが良い」
「ありがとうございます」
「広い世界をみて、なにか得ることを祈っておるぞ」

それから約一ヶ月後、充分な資金も援助され、
準備も、装備も持ち物も準備が整い
ついにアレルが各国に旅立つ日がやってきた。

「アレル、ちょっと待ってくれよ~」
アレルを追いかけてやってくる、大荷物の連れがいる。
長い赤毛をひとつにまとめた、異国の衣服の少年である。

赤毛をゆらしつつ、大きなリュックや土嚢でも
入っているのかというくらい大きな荷物を
華奢な手で握りながらその割に身軽に
たたたっとアレルのあとに続く。

身に纏っているのは布を胸の上でクロスして
別布でくるりと縛った
アレルやほかのルアーガの住人とは
多少異なる風合いの服である。

派手ではないがうっすらと花や草花の
模様が浮かぶ、独特の縮れのある風変りな
布でできており、少年の容姿にとてもマッチしいる。

「ゼイラ、おまえそんなに持って行くのか?」
「うん」
基本、現地調達を心がけているアレルと違い
ゼイラの荷物はいかにも多いように見受けられた。
「しょうがないやつだな、」ひとつふたつ、大きな荷物を
アレルはゼイラからひったくった。
「わーサンキュー」
ゼイラがアレルにウィンクをする。
「ばかやろう」
アレルはそう言ってニッと笑った。
二人は小突きあいながら、空港へ急いだ。

こうして、二人はルアーガ国の公有の飛行船に乗り込み、
大空へ舞い上がっていった…

アレルとゼイラ、二人の旅が今始まる。
何に出会い、何を失うのか、その時はまだ
二人とも知る由もなかった。
これからの二人の旅路に何が待っているのか
それは、崖の上で空と大地を見渡すハゲタカも知らないことだ。

けたたましい音とともに走りだした飛行船についていくかのように、
カモメが一羽、飛んだ。

第1話 終わり 第2話に続く


***
あとがき

とりあえず、1話こんな感じです。
語彙のなさがいかんせん申し訳ないのですが
まだまだ冒険は始まったばかり。

これからの展開にご期待ください!

 


アレルのビジュアルイメージ
黒髪に光ると緑の光彩、瞳の色は
青に近い紫です。
外交官なので制服のようなカッチリ系の衣装に
灰色のマントが特徴。