島国としての日本では国家からの自由は社会形成の問題を伴ってきた。それが日本の社会主義を偏狭なものにしてきたのではないか。人々は国境を超えることもできるのだ。制度的には現憲法の第22条がそれを保証しているが、「故国」あるいはカントリーCOUNTRYの意味での文化的所属感を国家が強制的に剥奪することは許されない。

 

日本人民は世界形成を旨とする「古事記」の理念を歴史的に負っており、そこには国境や国籍の思想は存在しない。

 

すなわち、日本の本質的な人民思想は郷村の大地感覚と漁村の海の広がりとともに生育したものであり、それは支配の論理(縮み感覚や孤島感覚)を跳ね返す論理を形成してきた。