少年は小さな靴を脱ぎ捨て
階段をかけあがり
僕の前を通りすぎていく。
高層ビル、立ちすくむような高さ
螺旋状に続く世界の果て
ここから未来が見えるとしたら
下を覗けるだろうか?
追いかけても追いかけても
君には近づけない
鼓膜に噛み付いたカラスが騒ぐ
やがて近づくのは
終わりと、危険を知らせる扉。
もうどこへ行けばいいのかわからない…
孤独
失望
独り、消えた。
振り返れば過去が手招きをしている
ここは、通いなれた通学路
錆び付いた正門の前
崩れかけたコンビナート
夕暮れの空
顔の無い友達
手をあげて渡る横断歩道
右目が回りだし
左目がジクジクと膿んだ
ここは最上階
いないよ、いないよ
どこにも、いなよ
誰か、誰か
誰も、いないよ
すぐに、いくよ
そこまで、いくよ
明日こそは
だから待って、待って、待って
朝来てもここに僕の机は無い
「遅刻をするな」
と先生が頭を出席簿で叩く
あの教室の臭いが
内臓にこびり付いて離れない
グシャグシャに塗りつぶされた絵画のように
おちていく
おちていく
おちていく
死んでいく
あの日、沈んでく夕暮れを見てたのは
あの日、繋いでた僕の手を離したのは
あの日から何度も落ちていく背中は
隠された少年の声は?顔は?
(誰が、僕を、消した、誰が、僕が、消えた)
迷うな
止まるな
そのまま飛びたて
「神様はいないよ」
夢は終わり