ヤバい家⑥ | noel-amy Short Stories (ameblo.jp)

 

一花が疑問に思ったことを言った。

「ねね、子供って、結局いたの?」

 

新聞では、犯人が、子供は見てないって載っていた。

 

「上の子は、小学生だよね?男の子。」

聡太が、メモをめくりながら答えた。

「そうだったね。8才だった。」

私は、そのメモを見て、答えた。

 

小学2年生か、3年生。

下校時間だ。

 

「この日、学校だったんだよね?登校していたのかな?」

浩平が、私たちの顔を見ながら、尋ねた。

 

確かに、小学生なら、学校に通っている。

「それって、どうやったらわかるの?」

 

まさか、学校に聞く?

高校生におしえてくれるわけない。

 

4人で、沈黙。

手詰まりだと思ったとき、聡太が方法があると言った。

 

「当時5歳の娘は、俺らと同い年かもしれないよ。同じような兄弟構成の同級生いないかな?」

「そうか、その兄弟から聞いてみればいいのか!お前、さえてるじゃん!」

 

「聡太、ナイス!って、これって、すごく身近な事件だったんだね。」

一花は、自分と同世代、もしかしたら、同じクラスで、友達になっていたかもしれないとつぶやいた。

 

この子達にとって、運命ってなんだろう。

 

「誰に聞く?唯人や紗南に、3つ上の兄弟がいるけど。」

「2人に聞いてみたら?連絡先、ある?」

 

私は、2人を知らない。

浩平が唯人さんに、一花が紗南さんにメッセージを送った。

 

唯人さんには、お姉さんがいて、同級生の失踪に大きなショックがあったという。

そのため、当時、学校に登校していたことを覚えていたそうだ。

 

紗南さんには、お兄さんがいるのだが、彼もまた、登校していると同じ事を言っていた。

 

ついでに、失踪した二人の名前を聞いた。

当時8才だった長男は、剛志(つよし)さん。

当時5歳だった長女は、恵美(えみ)さん。

 

私の心が少し、ざわついた。

理由はわからない。

似た名前の女の子が、5才のときに失踪している。

その子のことを思うと、ざわついたのだと思う。

 

「エイミ、大丈夫?顔色、よくないけど。」

一花に声をかけられて、ふと我に返った。

「ごめん、なんだか子供のことを考えちゃって。恵美さんって、名前が似てるから、シンパシーみたいなの感じちゃった。」

 

浩平が、気を使ってくれた。

「いったん、図書館からでて、アイス食いたくね?」

 

気分転換も兼ねて、私たちは、図書館を出て、近くのコンビニへ向かった。

 

4人でコンビニ前のベンチで、アイスを食べる。

「僕たちの親も何か知ってそうだよね。親に聞いてみる?」

「私たちが調べていることは伏せてが、良いかも。何か巻き込まれるって知ったら、怒られちゃう。」

「俺の場合、勉強しろって、絶対言われる。」

「私も言われるよ~。だから、言ってないんだ。」

「私も。毎日、図書館に来ていることは知っているけど、何をしているかは言ってない。」

 

ということで、それぞれ、「そういえば、」というスタンスで、親や兄弟に聞いてみることにしようということになった。

 

夕方6時。

ヤバい家の前を通った。

電飾は、ついている。ここだけ、クリスマスのようだ。