良いところまできた。

もう少しで、成功するところまで、上ってきた。

 

ここまでを振り返ってみた。

いろいろ大切なものを、捨ててきた。

それは、物だけでなく、家族、友人、恋人、

普通の人が味わうような青春も。

 

他人から聞けば、それを犠牲というのかもしれないが、

成功するためには、必要なことだったから。

そして、私も後悔していない、正しい道だと思っている。

 

今、目の前には、魔物が座っている。

魔物と契約をすれば、この先の成功を保証し、

この先の危険なことから守ってくれるという。

 

代償は、孤独。

いろんなことを捨ててきたんだ、今だって孤独同然だ。

この先の成功を保証してくれるなら、それは安い気がする。

 

しかし、相手は魔物。信じれないし、恐ろしい。

魔物に心を読み取られないようにしていたが、

「信じれないのなら、この取引はなしだ。」と言われた。

人生を棒にふるうのだろうか。

何もしなくても、棒にふるうことになるのかもしれない。

 

やはり、恐ろしいが、「よろしくお願いします。」

自然と口からこぼれていた。すでに魔物に操られているようにも感じた。

 

魔物は、ニヤッと笑い、私の心にスーッと染みていった。

これで、私の人生は、成功する。笑いが込み上げてきた。