たてつづけに文章を書くなんていつぶりか。

 

又吉直樹先生の劇場を読んだ。

これも殴り書き。

 

読み始めから、衝撃を受けた。

又吉(いつもこう呼んでしまっているので敬称は略させてもらっていますごめんなさい)が火花を出したころ、普段本を読まない周りもこぞって購入していた。

そしてみんなこぞって「よくわからない」と言った。

「純文学だからよくわからないらしい」と言った。

「純文学だからよくわからないんだな。」

と思って、普段本なんぞ全くと言っていいほど読んでいない私は手に取ることもなかった。

だけど今回、なんとなく手に取って、読み始めたら止まらなかった。

ひとつひとつの言葉、全部よくわかった。よく伝わった。

すべての表現にすごく感動させられて、全部記録したいと思ったけど、

記録されているのがこの一冊なんだとなんとなく落胆した。

印象に残った一説を挙げろと言われてもなにも覚えていないといったら覚えていないけど、

物語と同時に、表現の美しさとか、その言葉の意味ひとつひとつ、読むたびに心が躍っていた感覚で、

もっともっとと読み進めた。

 

内容は、ネタバレかもしれないので見たくない人は見なくていいけど、

ざっくりいうと、劇作家の男と女子大生の東京での話。

主人公の永田(劇作家)は、繊細で自尊心が低い。

その彼女沙希はとにかく純粋でいい子。永田を無条件にではないかもだけど、全肯定する。

彼を養ってしまう。要はヒモにしてしまうって感じなんだけど。

とにかく読んでみてほしいな。もし感想があったら私にもみせてくれると嬉しいです。

 

永田の気持ちも沙希の気持ちも両方わかる気がしてつらかった。

わかるというか、自分に重ね合わせられるものだったというか、都合よく解釈しているのかもしれないけど、

解釈しやすい感情だった。

 

永田はとにかく自尊心が低いが故、まっすぐな沙希にひけめを感じてしまう。

なんかわかる。けどそれは相手は全体に悪いわけではない。それもつらい。

責められるものじゃない、自分が悪い。どうしようもないんだと思う。

その焦燥感は、こっちをいらだたせるものでもあったけど、これが沙希目線なのか、永田の主観で

自分がいらだっているのかはよくわからなかった。

 

沙希はとにかくずっとまっすぐだった。

ひたすらに永田を愛していたけど、私はそれすらも依存だったと思う。

もちろん彼女は永田が好きだったと思う。本当に面白いと思っていたし、

一緒にいて楽しかったんだと思う。

だけど、はたから見てやめたほうがいい、と言われる恋愛やその相手は、たいてい周りの意見

が正しいというか、自分が削れていくものである気がする。

で、それを本当は自分もわかっていると思う。

ここまでする必要がないのに相手に何かするときは、相手がそれに対して、

罪悪感を感じるだろうということも本当は全部わかってる。

罪悪感でもいいから、相手に、自分に対して、何か感じてくれていることを欲していたり、

認めてほしいんだろうなと思う。

沙希が少し前の自分に似ていると思った。

私は絶対に相手がわるいような局面で、あえて謝ったり、

思ってもいないような優しい言葉をかけたりしていた。

沙希の「今日も一日頑張ろうね」も、永田が大して頑張ってないと思いながら

言ってたんじゃないかな。

それで相手が罪悪感に傷付いていくことは少し考えればわかった。だけどやり続けた。

 

沙希は最後に、

「本当は永くんはなにも悪くないもん。なにも変わってないんだから。勝手に年とって焦って変わったのはわたしの方だからさ。だから、どんどん自分が嫌いになっていく。ダメだよね」

と言う。

これは半分あっていて半分間違っているように思う。

悪い人なんてここにはいないと思う。

この二人が合わないというだけ。幸せな気持ちで、バランスをとって一緒にいられないというだけ。

沙希はもしかしたらそれもわかってたのかな。

自分が変わってでも一緒にいたかった、好きな人の前でいい女でいて、好きな人を罪悪感でもいいから

つなぎ留められらいいと思ったのかななんて思う。

 

恋愛はお互いにないものを埋め合ったりするものは結局うまくいかないのかもしれない。

お互いきちんと立っている者同士が並んで立てないと続かないのかもなんて思った。知らんけど。笑

 

「頭の中では言葉はぐるぐる渦巻いてんねん。捕まえられへんだけ」

という永田の言葉、昨日の私のブログみたいだなと思った。

永田の思っていることも、脳内に渦巻いた言葉を順番に丁寧にすくって書かれているのが、

自分が思ったことを紙やこうやってブログに書いているようなときと似てる気がしてますます面白かった。

永田の特徴なのか、又吉の特徴なのか、わからないので、ほかの作品も読んでみたい。

ところどころにちりばめられたユーモアもクスッと笑えて素敵。

 

最後のほうは読むのがつらかった。

幸せってなんなんだろうね。

この人と一緒にいても幸せになれない、幸せにしてあげられないとわかっていても、

この二人を見て、二人でいてもきっとだめだとわかっていても、

ずっと一緒にいたい。ずっと二人一緒にいてほしい。

そう思ってしまって、それがかなわないことは不幸じゃないの?なんて思いながら涙が出てくる。

このまま死んじゃったり、世界が滅亡しちゃえばいいのにとか思う。

だけどそんなことはできなくて、ここから先流れる長い時間を見て、

なんていうんだろう、平均的な幸せが幸せなんだろうな。

 

好きな人と手をつなぎたくなるような作品。

終わった後もどんどん涙がでてきて、ずっと本を抱きしめていたくなる作品。

これを読んでくれた人にも読んでみてほしいです!

 

『 みんな幸せになりますように 』