「最近事件少ないですよね」


「そんな頻繁に起こることないからね」



私、金村美玖は日向坂警察署の署長に

なって1ヶ月。


書類整理に追われつつ、事件が起きてほし

そうな後輩、小坂菜緒と新人警察官の

髙橋未来虹と一緒に日向町の平和を

守ってます。


まぁ、前の署長がいた頃は魔法の杖や

幻のお酒を守ったりしてたんですが…



菜「あぁー。暇。本当に暇。書類も

終わったし帰ろうかな。」



金「いやいや、まだ朝の9時半だよ。

勤務して30分しか経ってないじゃん」




菜「でも、私達がいる意味あります?

もうこの町は充分平和ですよぉ。」



金「そうだけど、いつ何が起こるか

分からないでしょ。」



菜「はぁ……」



金「暇ならこの書類まとめておいてよ」




菜「え…まぁ…。あ、この書類、

署長署名いるやつ」



金「あぁ。」



菜「これも。」



金「本当だ」



菜「あ、こっちもって…全部じゃないですか

何やってるんですか署長。」



金「そうだね。はぁ…書類整理おわんないな」



「お疲れ様です〜」



金「お疲れ様。あれ?どっか行ってたの?」



未「いえ、入り口付近の掃除してたんです」



金「偉いね〜。ありがとう」



菜「ほんまに偉いわ〜」



金「いや、あんたも手伝ってあげなって」



菜「でも〜、掃除って面倒だし。」



金「暇って言いまくってるんだから

できるでしょ」



菜「それとこれは別です。」



こんな感じの日常が流れてます。

この制服も、事件が起きなければ

コスプレみたいなものですかね…


「すみません」



菜「はーい」



入り口の方で声がしたので、行ってみると…

綺麗な女性が立っていた



菜「何か落とし物でもされたんですか?」



「いえ、そういうわけではなくて…」



菜「事件ですか?最近この辺不審者が

多くて…あ!もしかして、盗難とかですか。

盗難も最近多くて…」




「違いますっ!!!」




菜「…!?」



「あ、…すみません。つい…」




菜「大丈夫です。一度、署の中で

お話を伺ってもよろしいですか?

その方が落ち着けるかと…」



「分かりました…」



簡単に書類を片付け、3人は女性と

向き合う形で座る


金「初めまして、日向坂警察署 署長の

金村美玖と申します。隣が小坂菜緒と

髙橋未来虹です。さっそくですが茜さん、

落ち着いてからでいいので、ゆっくり

お話しください」




「はい…」



未「あ、その前に名前だけ」



金「あ、忘れてた」



菜「おい。」



金「ごめん〜」



「ふふっ…あ、すみません」



金「いいんですよ。ここは自由に。

お名前、教えていただけますか?」




「守屋茜です。」



金「茜さんか…。今日はどうされたんですか。

なんか、悩んでるようですけど。」



茜「はい。実は…」


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茜「もういい!出て行ってよ」



「分かった…」


数ヶ月前、同居していた菅井友香という

女性と喧嘩してしまった。



それから連絡を全く取っていなかったが

ある日、コンビニを出て数分歩いた時、

ビニール傘のぼやけた世界の向こう、

見慣れた後ろ姿を見つけた。



茜(友香…)



誰か分かったが、振り向くな、振り向くな

と念じる小さな交差点の一角



『この傘を使って帰ったらいいよ』



彼女の家に行った時、雨が降っていると

必ずそう言って折り畳み傘を貸してくれた。



その折り畳み傘は、私のすぐ目の前で

開かれている。


重いグレーの傘。


空と同じ色だね。



私が欲しかったのはそんな言葉じゃ

なかったのに。


例え片方の肩が濡れたって、あなたの

隣にいたかったのに。



私を気遣ってくれたのは知ってるけど、

譲りたくはなかった。



結局、私の方は両方とも濡れてしまっている

それどころか、スカートも、靴も、髪の毛も



私はあなたを置いて駆け出したから。


『さようなら』



そう言って



借りれば良かったなんて思ってるわけじゃ

ないけど、この雨の中走って帰るにも

限界があった。


駆け込んだコンビニの先は友香の帰り道

私を送るときには決して通る事のない道



今はただ、傘に阻まれた距離が憎い。

雨なんて降ってなければ、友香の隣へ

近寄れたのに…



小さな交差点にある、すべての信号が

赤から青に変わる



彼女は私の目の前を通り過ぎる。

顔は、前を向いたまま。

私の姿を瞳に映さないように



私の行く手の信号が先に青に変わったら

私は友香の目を見つめることができた。



そして、ごめんなさいって言えた気がする。



だけど、友香は去っていってしまった。



きっともう私たち2人は戻ることができない



雨は、夜になっても降り続いたままだった…



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


金「なんか、1冊本読んだみたいな話」



菜「ちょっ、何ゆうてるん。失礼やん」



茜「すみません…」



菜「そんな、謝らないでください。

勇気を出して話してくださったのに、

このバカ署長が本当にすみません!」



金「菜緒〜そんなこと言わないでよぉ〜」




菜「ちょっと美玖。いい加減にしなよ」



金「はい…」



未「お話は以上ですか」



茜「はい…」



未「なるほど…茜さんは友香さんと

仲直りがしたいわけだ。」




茜「そうです。でも、友香が見つからなくて」




金「お住まいはこちらじゃないんですか?」




茜「はい…私たちは櫻花町に住んでて、

友香も一緒に住んでたんですが…

先程話したように家から出て行って…」




金「でも、どうして日向町まで?

櫻花町にも警察署はありますよ」




茜「…実は、友香には別荘があって、

それが日向町にあるんです。だから、

来てないかなって思って…」




金「行かれたんですか?」




菜「おいっ!美玖本当に下手やなぁ。

行ってへんから一緒に行ってほしいって

ことやろ。」




茜「菜緒さんの言う通りです。」




菜「ほらぁ〜。じゃあ行きましょう。」




署を開けるのはいけないので、

ここは署長を置いて菜緒と未来虹の2人で

友香の別荘へ行く。


菜緒がつい最近、車の免許を

取得した為、もう美玖を頼らなくて済む






菜「うわぁ、おっきぃ〜」



署から30分ほど車を走らせ、森を

抜けると、お城のような建物が建っていた



茜「友香、お嬢様でして…」




未「あれ?もしかして…友香さんの苗字、

もう一度伺ってもいいですか?」



茜「菅井…ですけど。」




未「菅井って、あの菅井財閥の!!!」



茜「ご存知なんですね…」



「おや、これは茜様ではございませんか」



茜「叔父様。」



菜「叔父様!?」



茜「はい。友香にはずっと叔父様が

ついてるんです。」




「友香に御用でしょうか」



茜「はい。お話がしたくて。」




「…いいでしょう。では、案内します」



そう言って歩いて行く叔父様の後ろを

ついて行く。


初めて入る菅井家の別荘に目を輝かせる

2人とは違い、茜は緊張した面持ちだった



茜(今度こそ言うんだ…絶対に)



「こちらが友香様のお部屋でございます」



菜「すご…」



未「これが本当に部屋…?」




コンコンッ…


茜「友香、久しぶり…あのね」


茜が話している途中だが、勢いよく扉が

開かれた。


これはまずいかもと思い、菜緒と未来虹は

目を閉じた



友「茜っ!!!」



茜「友香…」



菜・未「「え…」」



目を開けると、目の前で茜に友香が

抱きついていた



菜「どういうこと?」



未「ちょっとついていけない…」




友「ずっと茜に会いたかったんだよ…

茜の家を出て行ってからずっと…

すぐに戻れば、またやり直せるかなって

思ったけど…できなかった…グスッ」



茜「泣かないでよ…悪いのは私の方なのに」



友「前に1回…コンビニの近くで茜の姿を

見つけたの…それで話そうとしたの。

でも…やっぱり無理だった…グスッ

だって、茜がこの街から出ていくって

叔父様から聞いた後だったから…」




茜「知ってたんだ…いつかちゃんと

言わないとって思ってたんだけど…

避けてばっかだったから。友香が

私を見た日、私も気づいてたんだよ。

でも、私はずっと気付くなって思ってた。」




友「どうして…?」



茜「友香に会ったら、また一緒に

過ごしたくなるから。」




友「大丈夫…」



茜「えっ…」



友「茜が決めたことでしょ…

ずっと応援してるから。それに、

離れていても、心は繋がってるって

よく言うでしょ」




茜「そうだね」



友「また帰ってきたら、会いたい」




茜「いいよ…」



友「いつでも待ってるからね」




茜「うん…」





未「どうしますか?私たち」




菜「一件落着って事で、帰りましょう」



未「そうですね」




2人に気づかれないようにそっと出て行く



未「なんか、良かったですね。」



菜「そうだね。」



未「2人とも、思ってたことは一緒

だったってことですよね。」



菜「…」



未「あれ?事件じゃなかったって、

落ち込んでます?」



菜「うんん、これも立派な事件だよ。

恋に関する難事件…」



未「なんか、かっこいい…」




菜「そうかな…///」



2人で話していると、署についた。


未「ただいま戻りました」



金「おかえり〜」



菜「ただいま」



金「おかえり。解決した?」



菜「うん。超豪邸にも入ってきた」



金「いいなぁー!!私も行きたかった」



菜「あかん。美玖が行ったら、

弁償金を土産にして帰ってきそうやわぁ」




金「いやいや、それは盛ってるって」



未「あの、この後どうしますか?

もう夕方ですし、今年も今日で終わりですよ」




金「早いね〜。」




菜「なら、お寿司頼もっか。」



金「それいい!!」



という事で、業務が終えて寿司パーティーが

始まりました。



金「それにしても、茜さん良かったね」



菜「うん。もう今年も終わりやから、

ちゃんと言いたかったんやろなぁ」



未「そういえば、美玖さんと菜緒さんも

お付き合いしてるんじゃないですか?」



後輩の超ストレートな質問に

むせてしまう



菜「はぁ…危な。喉つまらすとこやった」




金「未来虹ちゃん、それは秘密だから」




未「はい…(絶対付き合ってるよね)」



この日から数週間後、

茜さんから感謝のお手紙と写真が

送られてきた。




菜(すごく幸せそう…)



金「何にやけてるの」




菜「いや、茜さんたち幸せそうだなーって」



金「じゃあ、菜緒は私と一緒にいて

幸せじゃないんだ」



菜「そういうことじゃないって…」




金「そういうことでしょ」



菜「違うって」




金「だって最近楽しそうじゃないから」




菜「ここは仕事場やからな!」




未「あぁ〜、落ち着いてください!!

仲直りしてくださいよぉ〜」




金・菜「「無理!!」」



未「そんなぁ〜」




to be continue…



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こんにちは、逢魔オリオンです。


はい、久々に日向坂警察署を投稿

しました。


結構長めのストーリーになってしまって

すみません。



このストーリーを読んでくださって

分かった方もいるかもしれませんが、

これはY&Aさんへのお礼小説です。


今まで、引退した方にも書いたように

今回はY&Aさんへ向けてです。



Y&Aさんと言えば、ワチャワチャ系、

狂愛系など、様々なジャンルを

書かれてて、非常に尊敬している

書き手さんです。


それで、引退されると聞いて

お礼の小説を書こうと思い考えた

結果、コラボ小説で書いた日向坂警察署の

特別編を製作することにしました。



K2Nは出てきませんでしたが、

その代わりY&Aさんが好きな

菅井友香さんと守屋茜さんを

登場させました。


Y&Aさんとは、やっぱりこのコラボ小説が

印象的ですよね。


本当に私の初めてのコラボ小説が

Y&Aさんと作った日向坂警察署で

良かったなと思いました。



引退されるのは、すごく寂しいですが

これからも頑張ってください!


私も頑張ります。



この日向坂警察署はどうなるか

分かりませんが、消すことはしないので!




では、これで。

ちょっとまとまりが悪くてすみません!



今日はまだ投稿があるので!


それじゃあばいころまる〜!