昨日は、東日本大震災被災者等に対する相談対策研修会に参加しました。
岩手県司法書士会の小山田泰彦副会長の「岩手県の震災相談の現状報告」、震災後、大槌町で開業をした元東京司法書士会の石川会員の現状報告、東日本大震災相談対策委員会の濵口宏明委員長の「原発事故損害賠償のまとめと最近の状況について」の解説でした。小山田副会長、石川さんからは、被災地の復興が未だ遠い現状についてのご報告もありました。
岩手県司法書士会は、陸前高田市と大槌町に相談センターを開設し、常設無料相談を行っています。それに加え、主に仮設住宅の居住者を対象とする巡回相談も行っています。司法書士の認知度が低いため、相談者の方が「何の相談にのってくれるのかが分からない」というところから始める必要があり、大変だったとのことです。相続(登記)に関する相談が多いようですが、建物建築についての相談(資金繰りや二重ローンの問題も含む)が増えているとのことでした。
文部科学省内に設置された原子力損害賠償紛争審査会は、紛争に関する和解の仲介及び原子力損害の範囲の判定等に関する一般的な指針の策定に関する事務を行うこととなっています。中間指針、その追補、第二次追補が出されていますが、その中では、いわゆる「自主的避難」にかかる損害については、「平成24年1月以降、区域の設定は行わず、子供及び妊婦について個別の事例・類型ごとに判断する」との方針が示されているだけで、これ以上の進展が今のところないという大きな問題があります。
経済産業省発表の賠償基準、それに基づく東京電力の賠償実施方針が示されてはいます。そんな中で、東京電力との間で合意ができた人たちは、「東京電力への直接請求」を行います。東京電力からの請求書は、地域・個人・法人・業種によって11種類あります。
例えば、個人向け請求は対象期間によって
第1回目:平成23年 3月11日~ 同年 8月31日まで
第2回目:平成23年 9月 1日~ 同年11月30日まで
第3回目:平成23年12月 1日~同24年 2月29日まで
第4回目:平成24年 3月 1日~ 同年 5月31日まで
第5回目:平成24年 6月 1日~ 同年 8月31日まで
(5回目の請求書は平成24年9月27日以降、東京電力から順次発送)
と分かれています。以降、3か月ごとに請求書が届けられ、対象期間について請求します。5回目以降は精神的損害に対する慰謝料など、一定の期間の賠償を一括支払いで受け取る(包括請求方式)こともできます。
これらの請求は、世帯単位となっており、世帯の代表者が合意し、代表者の指定口座に入金されます。途中からの世帯分離は可能です。世帯に支払われた仮払金の精算は世帯主の本請求賠償でなされます。それぞれの請求項目につき一部合意も可能ですが、基本的に東京電力が認めた基準に沿った賠償のみが対象となります。
東京電力との間で合意ができない人たちに対しては、「原子力損害賠償紛争センターにおける和解手続(原発ADR)」が設けられています。平成24年9月28日段階では、申立件数4074件、和解成立件数は805件(全部和解:642件、一部和解成立:121件、仮払和解成立:42件)だそうです。センター事務所は、福島県郡山市、西新橋に第一東京事務所、新橋に第二東京事務所、支所が県北(福島市)、会津、いわき、相双(南相馬市)に設置されています。
他にも個別の論点〔避難生活等による精神的苦痛をどう慰謝するか(どの範囲で損害賠償を認めるか)、財物価値の喪失・減少に対する損害賠償、就労不能損害・営業不能損害の賠償など〕が多々あります。原発ADRへの申立書類作成が司法書士の業務範囲内であるとの法解釈の合意がなされました。今後は、ますます相談が増えるものと思われます。広域避難者に対する賠償や長期的な放射線被害など課題は山積みです。