こんな債権でも抵当権を設定することができる? | じじい司法書士のブログ(もんさのブログ改め)

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法律事務所の中で司法書士・行政書士を個人開業しています。50近くになって士業としての活動をはじめました。法律事務所事務員と裁判所書記官としての経験を生かして、少しずつ進歩していければと思っております。

抵当権(ここでは、根抵当権以外の普通抵当権のことを指します。以下同じ。)というのは、債権を担保することを目的とする権利なので、債権が発生しない限りは成立せず、債権が消滅すれば抵当権も当然に消滅すると考えられています(抵当権の「付従性」といいます。)。

債権が消滅すれば(例えば、貸金債権を弁済すれば)、抵当権は(仮に、抵当権設定登記が抹消されないまま残っていたとしても)当然に消滅します。消滅については明らかです。

しかし、抵当権の成立(発生)については、付従性は若干緩やかに考えられています。

例えば、住宅ローン(金銭消費貸借)の場合、銀行から金銭を受け取って初めてその効力が生じる(金銭消費貸借契約は要物契約だから。民法587条)。しかし、実務としては、まず、借主は銀行と金銭消費貸借契約証書を交わし、抵当権設定契約証書を作成した上で、抵当権設定の登記をします。その後、金銭の授受がされることとなりますが、「抵当権設定契約は金銭の授受がされる前になされたものだから、まだ効力は生じていない。登記も無効だ。」と借主が主張した……という話は聞いたことがありません。このような場合には、債権の成立に先立って、抵当権が効力を生ずることを判例は認めているからです。



さらに進んで、抵当権は、条件付債権や将来の債権を担保するものとしても設定することができるとされています。

一番多いのは、「保証人の求償権」を担保する抵当権です。求償権って分かりにくいですが、先の住宅ローンで考えていただければ理解しやすいと思います。住宅ローンを銀行などで借りるときには、保証会社がついていることが多いと思います。保証会社は住宅ローンの連帯保証人となってくれます。借主はその際、「保証委託契約書」という書類を差し入れていると思います。借主の委託を受けて、保証会社が保証人となるわけです。

この委託を受けた保証人というのは、借主が住宅ローンの返済を怠った場合、主債務者に代わって弁済を求められます。保証会社が代わりに弁済(「代位弁済」といいます。)すれば、保証会社は借主に求償権(民法459条)を取得します。代わりに支払ったんだから、その弁済金+決まった損害金+費用を支払ってね……という権利です。

求償権というのは、借りたばっかりの時には当然発生はしていないわけですが、この求償権を担保するために、保証会社のために抵当権を設定していることが多いと思います。

銀行から住宅ローンを借りたけれども、銀行に直接抵当権を設定するのではなくて、保証会社に抵当権を設定するのですよね。



他に、あげられる例は、請負代金(建物工事を完成しないと代金は発生しないけど、工事着工前に抵当権を設定する)、敷金返還請求権(借主が部屋を返したら、原状回復費用等が差し引かれて、現実の敷金返還請求権が発生する……敷金の場合には、潜在的に発生していると言えるのでしょうが。)、損害賠償の予定に基づく債権(債務不履行があった場合に備えて、契約上、損害賠償の額を定めることが行われます。債務不履行が生じない限り、損害は生じていませんが、これも将来発生する可能性がある債権として、抵当権設定が可能です。)などです。



案外、「えっ、そんな債権でも抵当権つけられるの?」という感じじゃないですか。他にもニーズに応じて設定できる場面はあると思うのですよね。お近くの司法書士に相談してみてもよいのでは。