遺言をする際には遺言執行者は必ず指定しなければならないのか。 | じじい司法書士のブログ(もんさのブログ改め)

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法律事務所の中で司法書士・行政書士を個人開業しています。50近くになって士業としての活動をはじめました。法律事務所事務員と裁判所書記官としての経験を生かして、少しずつ進歩していければと思っております。

昨日は、「遺言執行者の権限」という研修〔判例・先例研究会〕に参加してきました。

遺言執行者とは「遺言の内容を実現することを職務として指定又は選任された者」をいいます。

遺言執行者には未成年者と破産者はなれません。制限はそれくらいで、相続人、受遺者、法人も遺言執行者となることができます〔だから、受遺者兼遺言執行者となっていれば、自らが登記権利者(受遺者)、登記義務者(遺言執行者)となって、実質一人で遺贈の登記を完了することが可能です。〕。

遺言によって指定されていることが多く、家族(多くの場合、相続人でもあります)や受遺者が指定されていることが多いのですが、執行内容が複雑な場合には、弁護士、税理士、司法書士などが指定されていることもあります。

遺言執行者が必要な遺言内容であるにもかかわらず遺言での指定がなされていない場合(自筆証書遺言でよくあります。)には、家庭裁判所に遺言執行者指定の審判申立てをします。

自筆証書遺言、公正証書遺言かかわらず多いのが、被相続人Aが特定の不動産について特定の相続人Bに「相続させる」という内容の遺言をのこし、このために遺言執行者を指定しているケースです。このようなケースで、不動産が被相続人A名義のままであれば、その特定の相続人Bが単独で特定の不動産の所有権移転登記手続を行うことができます。遺言執行者の出番はなしです。その意味では不要にも思えますが、他の相続人(例えばC)がその不動産について相続登記をしてしまっていた場合(BCの共有とする登記も含む)、遺言執行者はその抹消(更正)を求めることができます。(また、Cの債権者がCが相続をしたことを知って、強制執行するために代位登記するというケースもあります。)

昨日の講師の弁護士は、公証人時代は、やはり上記のようなケースでも必ず遺言執行者を指定するよう指導していたそうです。「屋上屋を重ねるようです……」とおっしゃっていましたが。やはり、C名義登記が入ってしまっていた場合を想定すると、遺言執行者が迅速に対処することができますから、入れておくべきなのでしょう。私も、このような遺言を見たときには、「いらないのに」と思っていましたが、昨日の話を聞き、入れた方がいいと思い至りました。

一見いらないと思えることや、余事記載のように思えることも、よくよく検討してみれば重要だった……ということはよくあります。今一度、自分の身の回りから見返してみようと思ったのでした。