相続人多数の遺産分割について | じじい司法書士のブログ(もんさのブログ改め)

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法律事務所の中で司法書士・行政書士を個人開業しています。50近くになって士業としての活動をはじめました。法律事務所事務員と裁判所書記官としての経験を生かして、少しずつ進歩していければと思っております。

相続で困っている方は非常に多いと思います。私の経験上、司法書士は弁護士に比べて、親族・相続法をよく勉強されている方が多いと思います。司法書士には家庭裁判所での審判・調停事件の代理権こそありませんが、司法書士に相談していただくことには意味があると思います。相談者に寄り添うような形で親身に相談してくれるでしょう。



相続人が10人とか20人とか多数いる、対象財産は不動産だけ、不動産は相談者(相続人の一人)が取得したい、どうしたらよいだろうか……といった相談は比較的多いようです。このようなケースでは、相談者が不動産を取得することに多数の相続人は同意しているが、少数の相続人が反対しているため、最終的な合意ができないことが多いと思います。

このような場合には、最終的には、遺産分割の調停・審判を申し立てることが必要かと思いますが、それまでに、関係をシンプルにしていくことが重要です。

具体的には、相談者が不動産を取得することに同意してくださっている方々からは、随時「相続分の譲渡証書(印鑑証明書付)」を取得していくのが得策かと思います(民法905条)。仮に、全員からいただくことができれば、それを添付して相続登記も可能となります。一部の方からはいただくことができなかった……となれば、相続分の譲渡証書を添付した上で、遺産分割の調停・審判の申立てをすることができます

手続の途中で相続分の譲渡を受けたり、相続分が放棄されたりすることも、ままあります。実務においては、「相続分譲渡証明書(印鑑証明書付)」「脱退申出書」を提出して、譲渡者は手続から脱退します(遺産不動産に共同相続登記がされている場合などには、相続分譲渡人には持分移転の登記義務があるため、相続分の譲渡をしても脱退が認められない場合があります。)。相続分の譲渡証明書(印鑑証明書)は、譲渡人から譲受人に交付されたものですから、仮に、手続が途中で取下げで終了した場合には、原本還付を受けることも可能です。

最初から相続分譲渡証書(相続分譲渡証明書)を添付して申立てをする分には、手続からの脱退も必要なく、最初から申立人が譲り受けた相続分を有する者として手続に関与し、残った相続人を相手方とすれば足りることになろうかと思います(仮に、裁判所が、相続分譲渡に疑問を抱いた場合には、譲渡者に照会をし、真意を確認することになりますが、印鑑証明書を添付している限り、そんなことはまずないでしょう。)。