「透明人間は密室に潜む」
阿津川辰海
4篇のミステリー短編集

どのお話も、ミステリーの謎解きが綿密に考えられている印象
なので、オチを読んで無理矢理感がありません
たまに、さすがにムリだろ〜!?みたいなトリックのミステリーもありますからね!
ただ、私は本格ミステリをそこまで読み慣れてないと言うか
よほどのことがなければ
まあまあガバガバなトリックでも矛盾に気づかず納得できる
という特技を持っています
特技っていう?
なので、難解なトリックが成立しているお話よりも
そこにいたる動機など人間性がよく描かれているお話のほうが魅力です
そういう意味で
2話目の「6人の熱狂する日本人」がいちばん好きでした
とあるアイドルグループのファン同士の殺人事件
その、裁判員裁判
無作為に選ばれた筈の裁判員が
なんと、全員
偶然
件のアイドルグループのファンだった!
というオドロキ設定![]()
裁判員それぞれの
ときに偏執的ともいえるアイドル愛が
裁判のゆくえをどんどんおかしな方向へ暴走させ…!
ちょっとコミカルな裁判劇で面白かったです
そもそも、こういう思考の偏りがないように
裁判員制度があるはずなんだけど
たまたまヤベーやつらが選ばれて集まった裁判員裁判だったら…笑
たしかに、こういう事態にもなりかねない
マジか
さて、他の話にもさらっと触れておくと![]()
一話目「透明人間は密室に潜む」
透明人間設定はSFなどで他にも読んだことがあるけど
この物語は設定に超忠実です
たとえば、身体は透明だから胃の中の食べ物が透けて見えるとか
満員電車では不自然に空間ができるためバレてしまうとか
そういう縛りがあると、透明人間でも完全犯罪はけっこう難しいなーと思わされる
3話目「盗聴された殺人」
探偵バディもの
聴覚だけが異常に発達した美々香が、盗聴器に記録された音声データから
わずかな証拠を聞き取り真実を暴く
四話目「第13合船室からの脱出」
船上で催される謎解き脱出ゲームに参加した高校生
そのはずが、何者かに誘拐される
誰かが、なんの目的で?
それは脱出ゲームの答えに関係があるのか…?
正直わたしにはちと難しかった
