耳の聴こえない両親を持つ息子、大(吉沢亮)
自身は健常者であるものの、やがて成長するにつれ
聴覚障害の両親や、田舎の狭い人間関係に嫌気が差し
東京へ出る

めっちゃくちゃボロ泣きしました…🥹
ここ感動だよね!?ここ泣けるでしょ!?という演出はなく
わりと淡々と、大きな事件もなくストーリーが運ぶのに
シンプルに心が揺すぶられます
大の両親は聴覚障害がありますが、
障害がテーマの映画ではないように思います
簡単に言うと家族のストーリーかな?
人間って、生まれてきた環境がまずすべての基準になって
そのうちいろいろな世界や価値観を知って
あれ?今まで当たり前だと思ってた自分の世界っておかしいのかも…
と思いはじめたりする
その過程で、生まれてきた環境を憎んだり、疎んだり捨てたいと思うことは
だれしもあるように思う
大も、耳の聴こえない親の通訳はもう嫌だ!
まわりから可哀想な子って見られるのはもう嫌だ!と
田舎を捨てて東京に出ます
私は東京に出てからのストーリーがとくに好きですね
いろんな人たちとの出会いが尊い
良くも悪くも
人間は人生のはじめに手にしたモノで結局生きていくんだなぁとしみじみ思う
大は手話ができることをキッカケに、東京でも聴覚障害者たちと仲良くなります
田舎では両親と手話で会話をすることに嫌気がさしていたというのに
田舎では聴覚障害といえば大の両親しかいなかったのに
皮肉にも、東京にはもっとたくさんの聴覚障害者がいて
みんなそれぞれの個性を持って生きていることを知るのです
手話サークルで出来た友達がまた
すごく軽やかで楽しくて明るくて強くていいんだよねぇ
就職先の、ちょっと残念な編集者の先輩との関係もよかったです
大は、やさぐれてふらっと東京に来たはずなのに
なんだかんだ乱れた生活を送ることもなく、仕事して友達もできてきちんと生活してるのも
両親がきちんと育てた結果であろう
じいちゃんはちとアレだけど…
でも、DQNな祖父母や昼間からパチンコしちゃう父ちゃんに大が救われていた部分もあると思う
生育環境の大切さに改めて気づかされる
現在、育児をしている人間としては気が引き締まる想い
というように、聴覚障害はひとつの要素に過ぎず
子供としての自分にも、親としての自分にも
響くところがたくさんある映画なんです
ぼくが生きてる、ふたつの世界
ふたつの世界とは
もちろん
聴こえてる世界と聴こえない世界だろう
でもそれだけでなく
生まれたときに居た世界と、自分で切り開いた新しい世界
もあるように思う
いずれにしろ、ふたつの世界をつなぐ真ん中に自分がいる
片方の世界にだけいたら、わからなかったことがたくさんある
ラストシーンに向かう構成は斬新で驚きました
ここでこの回想がくるのか!?っていう
観てほしい
でも、今まで感じなかったことをある日突然気づくとか
今までわからなかった気持ちがある日突然わかるとか
人間の精神の成長にはそういうところがあって
リアルだと想いました
ある日ふと、反抗期を抜けて親と楽しく過ごせるようになってたり
あのとき親を悲しませたなと不意に気づいたりね
大きな事件や、衝撃的なシーンがなくても
いわゆる「普通の人生」を描いても
こんなにドラマチックで胸に響くんだと気づかされる
めちゃくちゃ良い映画でした🥹
みんなも観てよ!
