「ファミリー・レス」
奥田亜希子
コレの続きです
最終話
「アオシは世界を選べない」
犬のアオシは現在、亜砂とともに片江家で暮している
片江家の父が亡くなってしばらく経ち、片江家に将馬という青年が訪ねてきた
将馬は、アオシの前の飼い主だったのだ

もらったり、拾われたり
そういやペットも「後天的な家族」ですね
ほとんどの場合、ペット自身が選択することはなく
周囲の人間の大人がきめること
そして、こんな言い方は良くないのかもしれませんが
家庭における子供、も同じ立場にあるように思います。
亜砂は現在の、将馬は過去の、アオシの飼い主なのですが
共通するのはそこだけでなく
ちとネタバレしますと、
亜砂と将馬の父親は同じです
片江家の父親はろくでなしで、
将馬は隠し子だったんですね![]()
離婚も再婚も家庭不和も
子供にはどうしようもなく選べない
ある意味では
今日からここがおうちよと言われたら受け入れるしかないペットと近い
アオシの目線から見る亜砂と将馬が少し悲しい
どっちと暮らした思い出もあるし、簡単に切り捨てたりはできない
だけど、なにも考えずみんなで暮らすということはできない
どうやら人間たちはそういう事情なんだろう
子供とペットだけでなく
実は大人もけっこうままならないことばかりだ
亜砂自身も結婚に失敗し
将馬も自分の夢をあきらめきれず行き詰まっている
自分で未来を選べない苦しみもあるが、
選べるからこその苦しみもある
だけど、少しでも
未来が良くなるように、自分の気持ちが安らかになる方に
正解なんかわからなくても、答えを選び続けるしかない
「後天的な家族」がテーマの一冊だと思ってきましたが
読み終わって考えると
シェアハウス、夫婦も、子供も、親戚も、ペットも
けっこうみんな後天的だと言えるなと思った
あとからできた家族のほうが居心地の良いケースもあるしね…
