「ポースケ」
津村記久子
コレの続きです

第二話
「ハンガリーの女王」
「食事・喫茶 ハタナカ」の常連客・加藤のぞみは
「ハタナカ」に貼られた「ポースケのおしらせ」という貼り紙が気になっている
職場では強めの先輩・毬絵さんと強めの後輩・若菜ちゃんとの間で疲弊している

のぞみは幼い頃からおとなしくて声が小さくて肌が弱くて
そんな背景もあり、人には心を閉ざしがちであるしかし、よく立ち寄る「ハタナカ」の主人のヨシカは
親しみやすいが踏み込みすぎないちょうどいい距離感で
お店には常連客や従業員が好きに持ち寄った本で構成される本棚があり
そこにのぞみがそっと寄贈した本を、知らない誰かが読んでいたりして
その独特な距離感もまた、のぞみにとって「ハタナカ」は心地よいのではないかと思った
それとは対照的に
職場の毬絵・若菜コンビときたら…
悪人ではないものの、こうして大人しい人からナチュラルになにかを搾取して
それを疑問にも後ろめたさも感じない人っているよなぁ
毬絵さんがテレビで観たという「ハンガリーの女王が愛用している化粧水」を、
体よくのぞみに手作りさせてわけてもらおうとしてる!!
図々しい💢
その他にも細々とムカつくところのある人たちで、
私が代わりに一言言ってやりたい気持ちにまでなった
最後、のぞみは
ハンガリアンウォーターを毬絵さんに作ってあげることをやんわり断り、
「ハタナカ」の「ポースケ」というお祭りに参加することを決める
気の弱いのぞみなりに、
自分のしたいようにすることに決めるのだ。
気に入らない頼みは断り、
なんとなく喋ってて気の合う同僚にはコーヒーを分けてあげる。
行きつけの喫茶店のイベントには参加を申し出てみる。
そんなふうに少しずつ
自分の世界を守りながら広げていこうとするのぞみの強さが
読んでいて嬉しくなるラストだった