「怖いトモダチ」
岡部えつ
多くの人々を魅了するオンラインサロンの主宰者、中井ルミン
しかしその一方で
彼女に操られ、奪われ、傷つき追いやられた人々がいる
数々の関係者へのインタビューから、彼女の真の姿に迫る

いっけん人当たり良く見える人物が、
実はサイコパス気質の持ち主で
華々しい経歴の裏で折に触れて他人を陥れてきた
という作品はよくあるように思う
個人的に私の好みをいうと
この場合のサイコパスは、天然であればあるほどゾッとする
つまり、自分は他人を陥れたつもりも傷つけようとしたつもりもないのにー
と、心から思ってるケースね
貫井徳郎「愚行録」に出てくる田向夫妻がこれに当たる(と思う)
理想の夫婦みたいなふたりだが、実はけっこう真っ黒で
最終的に恨みを買って殺される被害者なんだが
その真っ黒っぷりが
悪意を持って意図的にしたことなのか、やむを得ず結果的にそうなってしまったのか
判断がギリギリな感じで実に好きです
けっこうわかりやすく悪意ありありな感じで
そこまでゾッとはしないんだよなー

悪意はともかく、わかりやすく人を攻撃したりしていて
(たとえばミーティング中に他のメンバーが見ている前でターゲットを執拗に叱責するとか)
こういう人は、もっとわかりやすく危険人物として周囲からマークされてるんじゃないかなー
いい人なの!?それとも悪い人?って疑問にすらならないと思う。
パワフルだけど近づきすぎちゃいけない人ってみんなの共通認識になると思う。
なので
中井ルミンに対して
とある人はとても良い印象を持ち、また別な人は最悪な印象を持っている設定が
ちょっと説得力がないようにも感じた
もちろん、ひとつの出来事でも受け取り方がナナメ上で、
ルミンにとって都合良く180度事実を捻じ曲げて捉えた挙げ句
それをいい感じに自己陶酔した文章でブログにアップするようなところはゾッとした。
こういう人にとったら、いくら認知が歪んでいてもそれが真実なんだから
いくら話し合ってもムダなんだよね
実際、認知なんてものは人それぞれによるところが大きいし、
逆に自分が正しいとも言い切れない…って思うと
迷宮!

あと、私の好きなサイコパスものの特徴として
「本人すらも自分のその気質に振り回されている」というパターンがあります