「ナオミとカナコ」
奥田英朗


 

 百貨店の外商部に勤める直美

DV夫に悩む主婦の加奈子


同じくストレスフルな生活を送る二人が思いついたのは

加奈子の夫、達郎を「排除」すること


自由を手にするための闘いは、

はたして成功するのか…!?




ドラマ化もされましたね


※広末涼子、いい女優さんだったのに… 

 

わたし観てないんですが、観ればよかったなぁ



普通の女のクライムサスペンスというと

桐野夏生の「OUT」が思いつきますが


 

 


「OUT」に比べるとどこか明るいというか、

女たちが強くて賢くて
どこか楽しげで


 

 

どこか「ガール」みすらある笑



直美と加奈子は共謀して加奈子の夫・達郎を殺します



DVに遭い、怯えて思考停止していた加奈子が、

そこから別人のように強くて行動的で賢く立ち回るのが印象的




ここまで強くて賢ければもっといくらでも

ほかにいいやり方あったんじゃ…

とは思っちゃうよね笑

そもそもそんな男選ばなかったんじゃない?滝汗



前半の「ナオミの章」では事件を実行に移すまで

後半の「カナコの章」では事件後が描かれます



もちろん、真相が暴かれそうになり丁々発止の綱渡りがあるのですが


手に汗握れば握るほど

どこかコミカルな感じすらあるほど

(著書にはコミカルな作品もたくさんありますがこの作品はシリアスだと思う)



女たちはたくましく軽やかです



個人的には、

加奈子はDV被害者として、事件実行の大きな理由があると納得できますが

ゲローにしてもふつうに離婚しろとは思うが



その友達というだけの直美には

自分の人生を投げうってまで凶行におよぶ意味ある…?

ともちょっと思った



直美は、デパートの外商部に勤めていて

高額商品を扱うプレッシャーや、どこかズレてる金持ちたちの相手で疲弊しているんですが



直美はそんな毎日に鬱屈しているようでありながら、

追い込まれた状況をのみ込んでさらにこっちのモノにするような賢さと強さがあります



クセ強中国人の顧客・女社長の朱美すらもいつしか味方につけてしまいます

ニヤリ朱美がまたなかなかいいキャラ



友達に同情して殺人なんかしないで、

もっと上り詰めればいいのにと思っちゃった



もしかして、直美が加奈子に加担したのは

ただの同情だけじゃなくて



男性性に虐げられる屈辱を晴らしたい

(直美の母は父に暴力を受けていたという背景がある)

または

加奈子に対するシスターフッド的な感情

もあるのかなぁと推察しました



とにかく

女たちは強い!賢い!



殺人なんてノーフューチャーなことしちゃってるにも関わらず

女たちはどこまでも軽やかで

読んだあとは妙な爽快感を感じましたキョロキョロ







 

 


 

 

 

 


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