「スペードの3」
朝井リョウ


 

 

某有名歌劇団出身の美しい女優・つかさ様


彼女の熱狂的なファン集団の「ファミリア」と、

そのファン集団を束ねる「家」のトップに君臨する美知代


「ファミリア」へ、つかさ様似の美しいアキが加入したことから微妙に様子が変わる。
アキは、美知代の小学校時代の同級生だった



第三部から構成されるお話なのだが、

どれも主人公となる人物が深く掘り下げられていて

みっつの長編を読んだかのような気分



第一部は、美知代。

小学校時代にクラスをまとめあげていたのと同じ要領で、

つかさ様のファンクラブ「ファミリア」をまとめあげている



第二部は、むつ美。

美知代の小学校時代の同級生で、不美人でイジメにあっていた



第三部は、つかさ。

有名歌劇団から退団後も、熱狂的なファンを持つ女優



三者三様の物語のようだが、

私は「自分を変えたいともがく」ことが共通していると思った



美知代は、小学校時代の学級委員長のころのように、今はファンクラブを束ねるが


小学校時代と違うのは

今や美知代が君臨できるのは「ファミリア」という狭い王国だけであり

職場などその他の世界では誰からもほとんど認知されない存在であるところ。


そんな自分の空虚に気づき

自分の王国から出て、自分から誰かに近づきたいと歯噛みする。



むつ美は小〜中学時代、容姿に恵まれず自信がなかったが


歌劇団の駆け出し女優のつかさや、美しい同級生の愛季に触発され

そしてまた、自分を踏みにじる者たちから大事なものを守るために


絶対に自分を変えてやると決意する。



つかさは、幼い頃から見た目も麗しく

厳しい試験を勝ち抜いて舞踏学校に入学した

歌や演技にも優れ、大きなトラブルもなく退団後も女優を続けていた



順風満帆といえばその通りだが

つかさは自分のトラウマのなさ、つまりドラマの無さに引け目を感じている




貧しい母子家庭育ち、体が弱いなどの苦悩を背負いながら

また一方で

そのドラマチックさを大いに利用する同期の女優・円



つかさには

どう努力しても、トラウマなんか作れない

女優の仕事も少しずつ先細りになってきている


こんな自分を変えたい



しかし最後には、このままの自分で勝負すると覚悟を決めます



タイトルの「スペードの3」は、

奇跡の最強カード



人はどれくらい、切り札を持っているのだろう


たぶん、それほど多く持っているものではないのではないか。



たとえ持っていても、追い風となる革命を起こし続けることは

無理なのではないか。



皆、今手にしている持ち札で精一杯

地道な努力とちいさな挑戦を重ね



少しでもなりたい自分に、

でも結局はありのままの自分で



一歩ずつ進んでいくしかないのだなと思わされるお話でした


春休み、子どもたちのブランチにと
コメダ珈琲をテイクアウト!


足りるかなぁ?と思ったんたが、
足りるどころか子供2人+私で朝昼かけてやっと完食しました爆笑


さすがコメダ珈琲
美味しかったですデレデレ






楽天市場