映画
「ワンダフルライフ」
「この世」で一生を終えた者たちが
「あの世」へ行く一歩手前、
「この世」でのいちばんの思い出を映像にして心に焼き付けるための場所
そこに来る者たちと、
そこで働く者たちの物語

死んでから天国に行くまでの数日間、
人生でいちばんの思い出をショートフィルムにして鑑賞し
その思い出だけを持って永遠の国へ旅立つ
なんて優しい世界⋯
極悪人もこのプロセスを踏むのかしら?
直行で地獄行き?
「死者の思い出を聞き取り、なるべく再現性の高い映像をつくる機関」
が物語の舞台なんですが
それっていわば半分天国みたいな場所だと思うんだけど
暗くて古びた建物で
昔の結核療養施設みたい笑
で、やってきた死者から「いちばんの思い出」を聞き取りするシーンが続くんですけど
それがセリフとは思えないリアルさで
「え?マジで死者連れてきたの?」って錯覚するほど
よくよく見たら、是枝裕和監督作品なのですね
死者から「いちばんの思い出」を聞いたら
それを映像化すべく、
制作陣で話し合い、なるべくリアルに再現できるようセットを組んで
よーい!スタート!はいカット!で撮影
まるで映画製作みたいでおもしろい
ハーイ!魔法で思い出を再現したヨとはならないんだね
そして、なかには「いちばんの思い出」が選べない死者もいて
そんな人には
その人の人生をすべて映像で記録したビデオ
が渡されて、全部見返すことができる
え?
そんなビデオあるの?
誰が撮ってた?
私も観たーーーい!!
人生を全部記録したビデオが観られるなら
一番の思い出を映像化する必要なくないか?
ってちょっと思っちゃったんたが

むしろ、映像化された思い出を鑑賞するよりも
自分のとっておきの思い出を誰かが一生懸命聞いてくれて
それを再現するために手を尽くしてくれて
最後は、自分が主役となってショートフィルムを撮影してくれる
そのこと自体のほうが、天国に昇る者にとっては癒されることなのではないかなと思った
もし自分がここに来たら⋯
なんの思い出を映像化してもらおうかなぁって考えるよね
とりあえず私も自分の人生ビデオがどうしても観たいので、
まず一回は「思い出が選べない」って嘘つくっしょ

・自分の子供が生まれたばかりの頃、1日中赤ちゃんを抱っこしてた日
・大学生のころ、当時の彼氏とラブラブだったころ

・高校生のころ、朝学校に行って友だちと騒いでなにげない1日
そんな思い出が頭に浮かびました
でも、子供が赤ちゃんのころは寝不足と育児ストレスでよく泣いていたし
大学の頃は勉強が大変で彼氏とラブラブ以上に勉強に追われてたし
高校生の頃は家や学校でいろいろ悩んで学校に行けない日もあった
いつのときも楽しい思い出だけではないんだよね
そう思うと、現在のこの生活も
不満ばっかり愚痴ばっかりだけど、たしかに楽しい瞬間もあって⋯
もしかしたら、今日いちにちのことをショートフィルムにしてもらいたいと思うかも?
今はまだわからないけど…
ずっと画面が暗めで、登場人物もボソボソ喋ってるんだけど
なんだか妙に優しい気持ちになる映画でしたねぇ
ARATA時代の井浦新がめちゃくちゃ美青年でした