「ままならないから私とあなた」
朝井リョウ
会社員の雄太は
ダメなところもクソなところも見せ合うからこそ人との絆が深まると信じている
そんな彼が、「レンタル彼女」を仕事にしている女の子と知り合い…

もう、まず雄太が
清々しいほど無意識にゲス
で笑える
大学までラグビー部で、マッチョ思考というのか
彼女がいても平気で妻帯者の先輩に風俗連れてってもらうし
結婚披露宴に出席してる最中も、新郎新婦の下品なエロネタで盛り上がる
そのくせ、
「ウソのない人間関係こそが大事なんだ!」
とかレンタル彼女に説教しちゃう笑
この矛盾、本人は気づいてないからタチ悪い
だけど、こういう考えの人ってけっこういるなのかなとも思う
自分も含めてね
自分は普通だって思う
普通じゃなきゃダメだと思ってるところすらある
それと同じくらいの必死さで、自分は普通じゃないのかもと怯える自分もいる
普通ってなんなのかは永遠にわからないけど
とりあえず、その場限りの「普通」はけっこうわかりやすい
子供の保護者としてなら、穏やかな良き母
昔の友達には、家庭円満で仕事も充実した女性?
職場だったら、一過的な負の感情に振り回されたりしない社会人
とかね
私たちは、その場その場で無意識に必死に
「自分の思うマトモ」を取り繕いながら存在しようとする
そうしないと、この世界から消えてしまう
それくらいの切迫感があるのではないだろうか
「レンタル家族」や「レンタル同僚」なんてものも利用してしまうかもね?
嘘つき、と言われる行為かもしれない
でも私にはそれを責められないし、ましてや笑ったりもできないと思った