科学を愛し、心から科学者をリスペクトする羽嶋賢児は
大手電機メーカーに務めているにも関わらず
アンチ美容家電派。
なぜなら、美容家電の効果を裏付ける科学的根拠など存在しないから。
カタブツ、クセモノかつ真っ直ぐすぎる科学ヲタク賢児の奮闘のお話

この物語に出てくる、賢児が全否定する
非科学的な迷信のようなモノ
ドライヤーから出るマイナスイオン
パワーストーンによる健康効果や開運効果
とか
お産は普通分娩じゃないと母親になれない
母乳育児しないとちゃんとした子に育たない
など
私としては
非科学的なモノもさらにふたつに分けられると思っている
それは人を傷つけるか、喰いモンにしてるか
癒やして、救いになっているか
の違い
美容家電も、パワーストーンも
「気休めかもだけど、なんだかいい感じ」みたいな気持ちにお金を払ってる部分も
正直あると思うので、そこまで悪いモンだとは思わないというか…
もちろん、
「この美容家電買わないと10年後にはシミだらけですよ!」とか
「パワーストーンがないと不幸まっしぐらですよ!」とか
脅すのは違う
あと、病気で苦しんでる人に怪しくて高額な健康グッズを売りつけるとかね
そういうのは、人を喰いモンにしてる非科学的産物ですね
もちろん、
妊娠出産育児関係の非科学的信仰もね
コレはホントに罪ですね
この物語でも、賢児の姉は
信頼していた助産師さんに母乳神話を押しつけられて苦悩するくだりがあります
美容家電の商品開発部に異動になった賢児は、
自らのポリシーとのギャップに苦しみます
美容家電の謳っている美容効果のほとんどは科学的裏付けのないモノ
でもそれを売らなくてはいけない
「嘘のないほんとうの科学」を使って
美容家電を魅力的に宣伝するのはどうしたらいいか
癖があるが嘘のない賢児の
幼い頃からの科学への尊敬と憧れが、変えられない現実に対峙する
なんですけど、
ちょーーっと話を詰め込みすぎたかなーって印象
賢児の美容家電への葛藤のほかに物語の軸にあるのが
・本当に科学者になった幼馴染・譲への尊敬と憧れ
そして、その譲を含む研究者たちの苦悩と現実
・賢児の姉・美空の、帝王切開やミルク育児にまつわる
母親を苦しめ惑わす迷信
・賢児の父が病気になったとき、数々のインチキ療法に手を出した母との溝
身の回りにある科学的・非科学的なモノという意味で
とれも繋がっている話ではあるが
どうも最後は駆け足になった印象。
最後、賢児はやっと
科学にウソをつかない家電メーカーとしての在り方を見つけるんだが
それが具体的にどんなんかはよくわからずじまいだった笑
せめて上下巻にしたらよかったかな?
強いて言うなら、子供時代のパートと鉱石の話がちと長かったかな…?
あと、美容家電のクレーム対応のくだりも長かったか…?
おもしろい題材だと感じただけに、
一番読みたい決着の部分に少し物足りなさを感じた