暗黒女子
秋吉理香子
聖母女子高等学院文学サークル
サークルの会長であり、学園経営者の娘
白石いつみが謎の死を遂げてから一週間
今日はいつみのために建てられた文学サロンで
定例闇鍋朗読会が開かれる
メンバーそれぞれ、秘密の闇鍋の具材と
「白石いつみの死にまつわる短編」を用意し朗読する

序章は、いつみの親友・小百合の独白なんだけど
それを読んだときはちょっと苦手な本かもと思った
たとえば、セリフなのに
「ゆったりしたカーテン」みたく説明的すぎるところとかねw
「私たちの年頃の友情って、両極端よね?」って、その年頃の人は言わないよなとかねw
でも、それぞれのメンバーの短編を披露する各章に移ってからは
グッと面白くなりイッキ読み!
お金持ちで優雅な美しい学園経営者の娘
というインパクト強めな「いつみ」というキャラクターひとつとっても
視点を変えれば、さまざまな解釈が生まれる。
ある人は心酔し、ある人は軽蔑したり
各章ではメンバー全員がそれぞれ、
いつみ殺しの真犯人をほのめかすが、
全員バラバラの人間を犯人として挙げている
つまり、誰かが嘘をついているのか?
「いつみという少女とその死」というひとつの「事実」に対しても
それぞれ違った価値観や認知をもって解釈すれば
「真実」は幾通りにも展開する
そこがとても面白かった
誰がどの部分で嘘をついていて、
誰の認知がいちばん偏っているのかはわからないが
ひとつ「事実」をいうとすれば
登場人物、全員「暗黒」
ってこと
まさに
「暗黒女子」というタイトルがピッタリのミステリーでした
父の日早割
