「家族シアター」
辻村深月

コレの続きです下差し

「私のディアマンテ」


絢子の娘、えみりは成績優秀だ
高校も特待生で入り、大学も名門を狙えるという


それほど勉強熱心じゃなかった絢子にとって、えみりの気持ちはよくわからない

お勉強ばかりして辛くないの?
年ごろの娘らしいオシャレを愉しみたくないの?

えみりの気持ちを探ろうとして空回りしたり、逆に嫌われたり。


そんなある日、絢子はえみりの異変に気づく



仕方がないというか、悪いことではないんだけど

子供を持つとき、どうしても


親があらかじめ

「子供とはこういう関係になりたい」

「子供とはこういうことしたい!」

という意向をかためていることは多い



もちろん、生まれて成長してきた子供が
親の意向におおむね賛成で

親の理想通りの関係や愉しみを共有できればいいけど


そうとも限らないよね?
親子とはいえ、別人だしね?


親はそれでガッカリするでしょうけど
子供だってけっこうガッカリする。自分に。


私の母は、テニスが大好きで
知り合った人間を、まず一緒にテニスできるかどうかで判断するようなところさえある


対して私は、運動全般苦手の超絶陰キャである
趣味は一人で読書。


でもそれだって、全く問題ないふつうの女の子だった思うけど
母は私にガッカリしていたし
そんな自分に私も落胆した


親に認めてもらえなけりゃ、価値なんてない
子供のころはそういう価値観すらある

私の母はそのうえ
「読書なんて人と関わらない暗い趣味」と口に出してたしね



ただ、この物語の絢子は
自分とは違う考え方と生き方をするえみりのことが理解できないまでも
否定はしない


物語の後半、えみりは突拍子もない変身をするんだけど、
絢子はそれさえも受け入れる


親も子も、完璧じゃない同士の人間関係だ

間違うこともあって、わからないこともある
だけど、理解しようと努力することはできる


えみりのことがよくわからなくて、とんちんかんなことばかりしてきた絢子だが
最後の最後、一番大切なところでは正解を選択できた