「水底のスピカ」
乾ルカ
東京からの美しい転校生、美令
おとなしく目立たない、和奈
派手で目立つグループの、更紗
それぞれ、秘密や苦悩を抱えつつ
少しずつお互いを知っていく

強迫観念に近い勢いで海に執着する美令
海に恐怖と嫌悪感を抱く更紗
ふたりの事情はなかなか明かされず、少しミステリーっぽくもありますが
私は和奈の心情に共感しました
和奈にとって、美令と更紗の抱える秘密や苦悩は
なんだか特別なものにすら思えます
それに比べて、自分は平凡
なにもない
自分は脇役の人間かもしれない
もしそうなら、生きてる意味がないのではないか
この、自意識暴走する感じ
めっちゃ共感できる
自分に自信がないくせに、自分はなにか特別な存在でいるべきだと思ってる
自分が何者でもないなんて許せない
もし私が何者でもないなら、そんな私は生きる価値がない
うがぁー!
自分が大好きすぎて自分に嫌気が差すというこの無限ループ
わたしも何億回と経験したように思う
目立たなくても、特別なところなんてなくても
脇役なんかじゃないし
誰かに見つけてもらわなくても生きてていいし
みんなと同じでも
みんなと違っても
誰しも特別で自分の人生の主役だと思っていいんだよ
もちろん私も
そんなことを、若い頃の私に言っても理解できないだろうなぁ
なんとなく理解しはじめたのが、数年前だもんな
(遅っ)
若い頃思い描いてた「特別な人間」には
どうやらなれなそうだけど
それでも生きてていいし、
その人生もそれはそれで良いことなんだ
そう思ってからは、少しずつ生きるのが楽になったよ