正徳大学の「文学」担当講師の森川は、
本を愛し、愛猫ハンナを愛し
やや浮き世離れしている。
そんな彼の周囲の人々
学生や教員、学長や大学職員、行きつけの店の店主
なにやら大学を脅かす怪しい存在も。
ただ文学とハンナを愛し穏やかに暮らしたいはずの森川が
知らないうちに
スパイの妨害活動や、自治会選挙の不正事件
怪情報による炎上事件に巻き込まれるミステリ

ミステリとしても面白いし
読んでて妙に落ち着くというか
星空に猫の表紙も良いし
暑くも寒くもない静かなところで、時間を気にせず
なににも煩わされることなく
読書してような錯覚に陥った
起きている事件は
スパイ工作や、盗難や選挙の不正など
穏やかじゃないことばかりなのに
妙に飄飄とした森川のキャラと、
そんな変わり者の彼を理解し周りに集まる人たちとの
静かで暖かいやり取りのおかげかもしれない。
ただね、最終章
コレだけはなんだかちと毛色が違いまして
ここまでに出てきた森川とその周囲の人々との
つながりを強く表現するためもあるのか
簡単に言うとなんか急に騒がしい
森川が何者かに陥れられ、クビの危機になり
匿名掲示板で誹謗中傷が起こる
みたいな
え?それ5ちゃん?
うまく言えないけど
SNSが荒れるってのがなんか違和感でしたね
現代においては充分ありえることだし
なんら不自然はないんですけど
自分でもよくわからない違和感です
これまでの章では、いろんな事件がありながらも
独特な静けさが保たれていたのに
最終話で大ピンチが訪れ
その均衡が壊されたからでしょうか
その平穏を取り戻す最終話でもあるのですが
結末がなんせ駆け足すぎ…
今までの登場人物みんなの力を借り
見えない敵と戦うぞ!
みたいなところで終わっている。
少年ジャンプでいうところの
俺たちの戦いはまだまだこれからだ!
~fin~
みたいな?
もう一章あってもよかった
もしくは下巻?
