「走る家」
唯野未歩子
コレの続きです

「猿の子ども」
十代のころの清乃は
頭のネジが一本足りない娘だった
平凡で、ぼんやりしているし
考え無しにふらふらといろんな男の子と付き合って
女の子からはときどき睨まれていた
そんな清乃の大切な場所は
清乃が将来結婚すると決めているいとこの洋くんと
洋くんよりずいぶん年上の恋人、秋葉さん
ふたりが住むアパートだった

清乃は、あたまの鈍い娘として描かれているが
本能的に、直感的に
いろいろなことを捉えているのだと思った
男の子とは、女の子とは?
結婚や、家とは?
洋くんの年上の恋人、秋葉さんは妊娠するが
洋も秋葉も素直に喜ぶことができない事情があるようだ
その事情は高校生の清乃にはわからない
が、清乃は
洋のとまどいや秋葉の不安を感覚的に掬い上げこわばった場をほどくような「提案」をする
清乃が平等に大切に思うふたりを守るためだったのだろう
やはり清乃は、かしこい娘だと思った