「本日、サービスデー」
朱川湊人
コレの続きです

最終話
「蒼い岸辺にて」
気づくと、早織は青い海にいた
ゴムボートを漕ぐ男は、ぶっきらぼうに「未来ゴミ」を水面に投げ捨てる
「未来ゴミ」の中身は
早織がこれから出会うはずだった友達。
出会うはずだった恋。
出会うはずだった夢。
早織は、自殺を図ってここに来たのだった

歳を重ねてなんとなく
自殺って、世界や人生をハッキリ恨みながら…という人だけがするものではなく
どちらかというと
もう、憎しみも恨みも未来もなにもかも考える気力が湧かなくなった人が
最後に能動的にできたたったひとつの行動
なのかなと思うようになった
これからの未来に目を向ければ
未来がなくなったことで失われる可能性を思えば
どんな苦しいときもなんとか乗りきれると思っても
次の瞬間には、
もうなにも思考が働かず
とにかく終わらせることしか頭になくなるのかもしれない
その状態になったら
未来も希望もなにも役に立たない
もしかしたら、人って
ふとした瞬間にそういう状態になったりするのかもなって
疲れてるときには思うことがある
けっこうみんな(というか私)ギリギリを歩いているのかもなって
だけどなんとか覚えていてほしい
というか、自分が覚えていたい
この物語みたいに
簡単でも明るくも優しくもないかもしれないけど
ふとした瞬間を逃げきったら、この先にはなにかしら未来があることを