「卒業するわたしたち」
加藤千恵

 


学校、教習所、片思い、結婚、憧れ、親子、恋愛

いろんな卒業を描く短編集



第一話

「胸に赤い花」


高校の卒業式の一日を描いた短編

いつもの制服、通学路、友達、先生


大好きってわけでもないけど、嫌いってほどでもなかった高校生活

だけどあたしは、女子高生じゃなくなるのが怖い



どのお話もそこはかとなく

何とも言えない「平成」感が漂ってまして

アラフォーの私には染みまくりましたねぇウインク



この一話目も、


受験が終わって卒業式で久しぶりに制服を着る感じとか

通学路や教室の慣れきった感じ

友達とのいつものやりとり


そういうのが今日で全部終わりなんだぁ~まじで!?

っていうポカンな感じ


鮮やかに思い出されました



高校生の頃の私といえば

アラフォーの今の方がよっぽどピュアに思えるほど真顔なんか言った?

ひねくれて斜に構えてましてね



卒業式なんかよぉ、どーーでもいいわぁダルっ!

みたいに思ってました


学校なんて好きじゃなかったしよぉ

友達ならこれからも会うしな!って



だけどほんとは、卒業して大学生になるのが少し怖かった


友達も、もちろん毎日会うことはなくなる。

嫌だと思ったり好きだと思ったりした制服も着ないで、自分で考えた服を着る



それらのことが、どうしようもなく心許なくて

広い宇宙にポイッと投げ出されるみたいな



だけど卒業式は、そんなこと考えてもいませんよって顔で

ダルそうにしたりハシャいだりしてたなぁ