「隣のずこずこ」
柿村将彦


 

 

矢喜原町に住む女子中学生、はじめ。


小さな田舎町に

権三郎狸と、あかりという名の若い女がやってきた


それは、矢喜原に古くから伝わる恐ろしい伝説

村人を一人残らず飲み込み、村を焼き尽くす権三郎狸だった


若い女、あかりによれば

一ヶ月後には伝説通り、矢喜原は綺麗さっぱり権三郎狸によって抹消されるのだという


マジで?どうなる?どうする?





突然、「世界の終わり」を宣告された矢喜原の人々


取り乱す者、なんとか反抗しようとする者、

どうせ世界が終わるならと卑劣な行動に出る者もいるにはいるが



基本的には皆

ちょっと良い肉を奮発したり、部屋の片付けをするなど

緩ーく日常を続けている


そしてそれはだいたいが、

古くから矢喜原に住み、権三郎狸の伝説を知り尽くした者たちだ。



私はこれ、ノストラダムスの大予言に似てると思いました


あれも相当理不尽で意味不明な話なのに、

みんな知ってて、みんな結構信じてましたよね。大人も。



私はノストラダムスを最初聞いたとき、恐ろしくて泣きました

親も、「そんなのはデマだよ」って言わなかったし。


そのうち、

自分が1999年には何歳かなぁとか考えて


けっこう先の話だなぁと思ったり

この歳までしか生きられないのかぁと思ったりして


結局は、緩ーーく受け入れていた気がします



実際、1999年にはなにも起こらなかったわけですが

もし実際なにか起きても

とうとう来たか~ってアッサリ観念したと思う。


だって子供のころから聞いてたから。



この現象と矢喜原の人たちの反応って似てると感じました


矢喜原の老人は、どんなに子供たちが怯えても

繰り返し繰り返し権三郎狸の話を言って聞かせます。

 

それは

「いつか来て絶対に逆らえない運命」を、

なるべく速やかに受け入れさせるためなのかなと思いました



物語の最後、確実に「その時」は近づいてきて

この大風呂敷をどう回収するの!?とハラハラしましたけど


結末読んで、

そうきたかーー!!!と、ひっくり返りました。



大風呂敷なんて、勝手に私が広げただけ。

このお話は、最初から繰り返しひとつの事しか伝えていなかったのです。




マジか…マジか…

でも、そうなるか…