「嘘と人形」
岩井志麻子


 

 

テレビで、「ヒョウ柄のオバハン」として悪乗りする作家・岩井志麻子


その姿を見て、殺された姉のことを思い出す女。

姉は「ヒョウの着ぐるみ」の中で死んでいたからだ。


共通点はそれだけではなく

凡庸さ、自己顕示欲、承認欲求、そんなものも姉を連想させた。


姉のおぞましい生き様と死に様、

またその死に様に酷似した、Q国での「ガオちゃん殺人事件」


なにが真相で、なにが妄想なのか

誰の真実で、誰の妄言なのか



もう読んでる途中から

出るエピソード出るエピソードおぞましすぎて笑えてくる(笑)



そして、「ガオちゃん殺人事件」のあたりからは

まだおぞましい事実が発覚するのか、

先が見たいけど怖いみたいな



湿った裏庭の、大きな石をひっくり返すときみたいな気持ち

裏にはたくさんの虫がゾワゾワ~ッ!!とわき出して

ゾッとするに決まっているのに

ひっくり返さずにはいられない感じ




後半はもうなにが本当でなにが嘘なのか

なにが事実でなにが妄想なのかもうわからなくなってくる


出てくる人出てくる人

キ●ガイ多過ぎて(笑)



一番怖いのはね


ある人にとっては嘘や妄想でも、

本人にとっては大まじめだし真実

っていうことが同時に起こりえるということですよね



現実世界でもたまにありますけど


どうしてそんな考えになる?

とか

どうしてそんな受け止め方する?

とか

どうしてそんな嘘つく?

みたいなこと



でも、本人にとっては大まじめに真実なんですよね


それじゃあもう、「本当」ってなんだろう?



私はこの物語は、

「岩井志麻子」という作家の存在だけは真実

だと思って読んでましたけど



もはやそれも妄想かもよ…



テレビでヒョウの着ぐるみでノリノリなのは「岩井志麻子」と名乗るおかしな女性


このおぞましく恐ろしく蠱惑的な物語を生み出した作家の「岩井志麻子」は

まったく別に存在していたりして…



なーんてな


そんなふうに思考を弄ばれることこそ

岩井志麻子先生の思うつぼなのだろうか…




 

  

上差し 志麻子先生、昔は少女小説書いてて、私コレ読んだことあります! 


 上差し「犬を散歩する女性」役で普通に出演してて驚いたびっくりハッ