数年前から国内では
人間がある日突然、グロテスクな異形の姿に変貌する未曾有の病が報告されはじめた
「ミュータント・シンドローム」
有効な治療法はなく、また治癒例もなく
発病した時点で死亡と認定される「致死率100%の病」である
この病にかかるのは、主に
「引きこもり」や「ニート」といった社会的弱者の若年層であるということがわかった
美晴の22歳の息子、優一も発病した

はじめ、この設定にすごく不快感がありました
だってこの「ミュータント・シンドローム」という病気自体が
モロに引きこもりニートのことなのかと最初思ったので
引きこもりニート=死と認定OK!って…
ちょっと弄りすぎじゃないかと…
ですがすぐに、この不快感は恐怖心からくるものだとわかりました。
私だって、他人事ではない…
大事に正しく育児してるつもりでも、子供にとってどう影響してるかはわからない
子供がどう成長するかはわからない。
正直、引きこもりやニートだけならまだいい。
こんな事件がありましたよね
自分の子供が、他人に危害を加えるモンスターになったら…
それでも、子供の死を祈らない自信がありますか!?
ということです。
綺麗事ではないんです
そう考えてからは、この物語の行く末にとても興味がわきました。
子がモンスターになっても割りきれない親
無関心を装う親
「家族の会」の微妙な不協和音
このあたりはとてもおもしろく読みました
ですが、なんとなく後半は綺麗にまとまりすぎて個人的には残念でした
だってさそもそも
この異形、見た目が気持ち悪いくらいで
そんなに暴れたり襲ってきたりしないし、わりとおとなしいから、
親の心情はともかく、ふつうに飼うことはできそうな感じなんだもの
(とはいえ、親は辛いだろうけど)
家庭内暴力の子供部屋おじさんを飼う親の辛さとは比べ物にならないな…
親は異形を飼うことでいつのまにか勝手にカタルシス効果を得ているが
肝心の異形(子供)の親への恨みはいつまでも昇華されないところは納得できた
と思ったら、そのへんのわだかまりも結構簡単に解決したー!
まあ、突き詰めすぎたら
それこそ救いようがない物語にしかならないので、
このまとめ方で良かったのかもしれませんね。