父親の急死で、母方の田舎に引っ越してきた、みのり。小学六年生。
出会ったのは
大人びて優しい少年、怜
狂暴で皆が怖れる少年、隼人
この田舎にまことしやかに囁かれる
「向日葵男」の不気味な噂
大人になること、なにかを失うこと
その傷を癒すこと
もがきつつも子供から大人になる少年少女たちの
数年間を描くノスタルジックなミステリー

続きが気になって、どんどんと先に読めました
都会から田舎に引っ越す→田舎ならではの習慣や人間関係に戸惑う
→奇妙な風習や噂に戸惑う
みたいなのは、もはや田舎絡みのミステリーあるあるだと思うんですけど
この物語は、突然父を失った喪失感から抜け出せない少女みのりが
傷つきながらも成長する様が、鮮やかに描かれていて
そこだけでも充分良いので
途中ちょっと、
向日葵男の話いる!?って思っちゃいましたw
前半は特に、向日葵男のミステリー要素がなくっても
充分不気味なんです、主に隼人が。
だけどね、後半読むにつれ
やっぱ向日葵男のくだり必要だわ!!
ってやっとわかった
よくある、田舎ミステリーのように閉鎖的ではなく
みのりの住む母の田舎は暖かく、小さな学校には素晴らしい教師もいる
だけどやっぱり、向日葵男はこの環境の小さな歪みが生んだものだった
第8章は、今までノスタルジックで少し甘酸っぱい雰囲気に隠されていた
不穏な空気が一気に広がり
怒涛の伏線回収劇である
あまりにどんどん明らかになるので、
お、おう…と、目が白黒なりかけましたが
ちゃんと前半からさりげない伏線は張られており
ちゃんとそれが回収されるので、矛盾は感じません!
ちょっと展開がジェットコースターでしたが…
あとは、
当たり前だけど成長に伴って少年少女も色気づいてきて
みのり、なかなか罪なおんなですなぁ~という感じw
満足感のある一冊でした!