「きみは赤ちゃん」
川上未映子
作家、川上未映子が自身の妊娠と出産後を綴ったエッセイ

川上未映子先生の作品をたくさんは読んだことないんですが
独特のリズムと言葉遣い、
なんていうかセクシーでアンニュイな世界観というイメージでして
ご本人も美しくて(歌手もされていたそうですよ)
でも、このエッセイはとってもおもしろいんですよ!
興味深い、というだけでなく、単純に笑える
妊娠中や産後の体の変化、
赤ちゃん育児の辛さ、とまどい、
赤ちゃんへのなんともいえない愛おしさ、
喜び、心細さ
夫婦の関係や、男女のはざまにある葛藤
仕事しながら育児することへの葛藤
自分とほぼ同じようなことで悩み憤ってることに驚いた
あたりまえなんだけどね。
でも、そんありふれた悩みも
テンポよくわかりやすい言葉遣いに、思わず爆笑しあるある!と叫びたくなる
産後クライシスについても書かれていますが
もうあの、
夫を超えて男性、下手したら地球全部を憎みたくなるあのドロドロした気持ち
を思い出しました
男女なんてどうやっても同条件になるわけがないし、
そうしたらそうしたで結局不具合が生じるんだけど
そうでないことに猛烈に腹が立つ気持ち
それらが、驚くほど率直な言葉で描かれます
かと思うと、生まれたての我が子に思う
これまでに経験したことがないような尊い気持ち
すべてを捧げても良い、むしろそれ以外ないと思えるような
なにかとても美しいものが腕の中にあるという気持ち
それらの描写にも、とても共感でき
思わずジンワリ泣けました
出産して傷が痛え!乳首痛え!
夜泣き辛え!
旦那ムカツク!!
という罵詈雑言と並列に聖母のような透明な気持ちは存在していたな
と、懐かしく思い出されます
出産経験ある無し、
老若男女関係無しに楽しめる本だと思います!