「シュガータイム」
小川洋子
楽天市場
682円
ある日突然、強烈な食欲に支配されるようになった
女子大生、かおる
食べても食べても、宇宙に吸い込まれたかのように心許ない大量の食べ物。
持病を持つ弟が教会に入るため引っ越してきたこと
恋人の吉田さんとの、静かで安らぐけれどもどこかいびつな関係
なにが原因かはわからない
もしかしたらいろんなことがすべて絡み合っているのかもしれない
かおるの静かで奇妙な一時期の物語

久しぶりに読み返しました。
小川洋子の小説は、独特の世界がどんどん広がっていって
作品によっては、物語に没頭しても先が見えないような感覚になることがありますが
この話はまだちょっと現世に近いかなという感じ(笑)
食べ物の描写ひとつとっても
とんでもなくおぞましく汚らわしいように描いたり
読んでいるだけで飢えそうなくらい色鮮やかに蠱惑的に描いたり
いずれにしろ、
とても静かで透明な世界
寂しさも不信も諦めも嫌悪も
それすらも静謐で清潔である。
気色悪いような、だけどもずっと眺めていたい美しいもののような…
最後にちっとネタバレ
恋人の吉田さんからの手紙ですが
若い頃読んだときは
「吉田さんはもう別の次元に行ってしまったんだわ…」という印象で
フラれるとか取り戻すとかいう次元の問題じゃないんだと思いましたけど
おばさんになって読み返した感想
「いやいや吉田!カッコつけてますけど普通に浮気ですよね!?
捨てる彼女に浮気のお花畑脳で俺通信送ってくんな!?」
でした(笑)
歳をとるって、哀しいね