すべてわたしがやりました
南綾子



追い詰められて、


なんとなく、


衝動的に、


罪を犯す女たちの短編集



一話め。



「すべてわたしがやりました」



昔から盗癖のある敦子



夫の実家で、スーパーで、親友の家で…


他人の善意と油断に付け込んでしれっと生きている


しかしある日、過去の清算が追ってくる





その場しのぎの嘘をつきながら、罪を重ねる敦子



重大な罪を犯すときでさえ、落ち着いて見える

その場しのぎの言動で乗り切る


すでに腹が据わりきっているようにも見える


敦子の芯に住み着いた悪魔に、翻弄されるしかない人生

それを敦子自身もとうに受け入れているように見える



すべて告白して詫び、やり直すことを夢想したこともあったが

悪魔はそれを許さないだろう



結局、自身の悪魔に飼い慣らされ、

最後は悪魔と心中するしか道がないような気がした



こういうふうにしか生きられない