気まぐれに働き、相手を見て怠慢を繰り返す「同僚」の「アレグリア」
「アレグリア」の働きぶりを腹に据えかね爆発寸前の女子社員「ミノベ」
そんなミノベに醒めた態度で接する「先輩」
「アレグリア」の能力を買っている男の上司ども
読んですぐ、カラクリがわかるので、ニヤニヤ笑いながら読み進めました
ミノベが、「同僚」のアレグリアの働きぶりを憎むあまり
余計アレグリアに執着し、あしらいを攻略してしまっているところが笑えた
これもう、まるでコントじゃん!
今まで読んだ津村記久子作品は個人的に
淡々としてる60%、憂鬱さ20%、ユーモア20%くらいの割合に感じたが
この作品は
淡々60%ユーモア40%の笑える作品だと思った
が、
終盤にさしかかり、予想に反して急に切なくなった
本当に問題なのは、
「アレグリア」の「怠慢」じゃない
「アレグリア」への評価が、社内でこんなにも違うところではないか
「アレグリア」への怒りをバンバン出し、まわりに分かってもらいたい「ミノベ」
と
心のなかにふつふつと溜め込みながらなるべく押さえようとする「先輩」
ふたりの間に溝ができるのも切なかったし
本来なら苦悩すべきなのは
ミノベでも先輩でもアレグリアですらもなく
「アレグリア」の「本当の能力」をろくろく見もせずに讃えて
いざ問題が起こってから責任のなすり合いをする男どもや
そもそもアレグリアを社内に迎え入れることになった「黒幕」たちなのに。
先輩とミノベが和解するラストは良かったが
あかるい淋しさが切なかった。
人間関係って、割りきって話せばたいていの誤解は解けたりするけど
そんな簡単なことが最後になるまでできなかったりするのだよね
ちなみに、この題名
「アレグリアとは仕事はできない」は改題されたもので
原題を聞くと、「まんまじゃん!!」と思うのだが
こんな、「まんまじゃん!!」という会社員あるあるを
こんなにやるせない人間関係の描写に落とし込むなんて
ただの笑える話かと思って油断してました…
でも、いつものように読後感は悪くなくすっきりしています