短編集の一話ずつレビューするのが結構楽しかったので今回からはコレ

そこへ行くな
井上荒野


 

 

日常の、ありふれた場所に突如現れる


人間関係の歪みを描く


ぞわぞわくる7編





一話め。

遊園地




仕事の忙しい夫の二重生活を知った妻





妻の一人称で語られるため、不気味な夫の本当の気持ちはわからない。



綿密にすべてを欺いていたようにも思えるし


なにも考えずにその場その場で、ある意味超刹那的な正直者のようにも思える。




そして、妻も心のどこかでなにか気づいていたのではないだろうか

 

目の前に見えている夫は、この男の氷山の一角にすぎないと真顔




それが明らかになってからも、妻はなにもなかったように生活する


もちろん、そのようにしているだけで歪みは存在する




思わぬところに歪みが伝染する。



息子の奇妙なイタズラに。

なにも解決せずなにも説明もないまま『家族』で行く遊園地に。





では、この話の「そこへ行くな」はどこのことか



まず素性のよくわからない男には「行くな」滝汗


もしそういう男に「行って」しまって、

しかも結婚したり子供を産んでしまったなら

 

もう、真実をムリヤリ暴くような方向には「行くな」ゲロー



というところでしょうか。ニヤニヤ


知らぬが仏って言葉もあるものね